コラム
パワハラとは 定義、具体例と対策について
社内でパワハラが横行すると、従業員のモチベーションが低下したり世間の信用が失われたりして、会社に大きなリスクが発生するでしょう。
パワハラを防止するにはどういった行為がパワハラになるのか、定義や具体例、放置するリスクを理解しておく必要があります。
今回は、パワハラとはなにか、パワハラを予防するための対処方法を弁護士がお伝えします。
経営者やご担当の方はぜひ参考にしてみてください。
1 パワハラの定義
厚生労働省によると、パワハラは以下のように定義されています。
職場におけるパワーハラスメントとは、職場において行われる
① 優越的な関係を背景とした言動であって
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③ 労働者の就業環境が害されるもの
であり、①から③までの3つの要素を全て満たすもの。
「職場」とは、労働者が業務を行う場所です。
勤務時間外の懇親、接待の場や社員用の寮などであっても職場に該当する可能性があります。
「労働者」とは、正規雇用労働者のみならず、パートタイマーやアルバイト、契約社員などの非正規雇用者も含まれます。
「優越的な関係」については、上司部下の関係のみとは限りません。同僚同士や部下から上司へのパワハラもありえます。
「業務として必要かつ相当な範囲を超えたもの」でなければならないので、客観的に業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導はパワハラになりません。
「労働者の就業環境が害される」とは、加害者の言動によって労働者が身体的や精神的苦痛を与えられて就業環境が不快となったために能力を十分発揮できなくなるなどの支障が生じることをいいます。
2 パワハラの類型と具体例
厚生労働省によると、パワハラは以下の6類型に分類されます。類型ごとの具体例も合わせてみてみましょう。
(1)身体的な攻撃
殴られる、蹴られる、胸ぐらをつかまれるなど
(2)精神的な攻撃
同僚の前で侮辱された
皆の前で、ささいなミスについて大声で叱責された
必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱られたなど
(3)人間関係からの切り離し
先輩や上司に挨拶しても、無視され、挨拶してくれない
(4)過大な要求
終業間際なのに、とうてい終わらない質量の仕事を毎回押しつけられる
常に達成不可能な営業ノルマを課される
(5)過小な要求
事務職で採用されたのに、仕事は草むしりだけ
コピーするだけの仕事しか与えられないなど
(6)個の侵害
休みの理由を根掘り葉掘りしつこく聞かれる
パワハラの類型や具体例についてはこちらで詳しく解説していますので、よければご覧ください。
3 パワハラを放置するリスク
社内におけるパワハラを放置していると、以下のようなリスクが発生します。
(1)モチベーション低下
就業先でパワハラが横行していると、従業員としては仕事へのモチベーションを失ってしまうでしょう。
生産性が落ち込んでしまうリスクが発生します。
(2)離職者の発生
パワハラの被害者がうつ病などの精神病になると、仕事を続けられなくなるケースが少なくありません。
周囲の従業員も会社に見切りをつけてやめてしまう可能性があります。
(3)被害者からの損害賠償請求
パワハラの被害者がうつ病になったり自殺したりすると、被害者側から会社へと損害賠償請求されるリスクも発生します。
(4)信用低下、レピュテーションリスク
社内でパワハラが横行していると、従業員がSNSなどへ投稿する可能性もあります。
情報が世間へ拡散されると企業への信用が低下してしまい、レピュテーションリスクが発生するでしょう。
商品やサービスが売れにくくなったり、新規採用が難しくなったりするリスクがあります。
4 パワハラへの対策方法
(1)パワハラを許さない態度を表明
まずは、経営者として、社内全体へ「パワハラを許さない」という態度を明らかにすべきです。
経営者が率先してパワハラを認めない風土を作ることで、従業員も「パワハラ行為をしてはならない」と意識付けられます。
(2)社内研修を行う
どういった行為がパワハラとなるのか、パワハラにどういったリスクがあるのか社員へ教育指導しましょう。
折に触れて研修を開くのも効果的です。
(3)相談窓口の設置
パワハラ専門の相談窓口を設置して、問題が発生したときに気軽に相談できる環境を用意しましょう。セクハラやマタハラなどのハラスメント問題と同じ窓口にしても構いません。
ただし、相談内容は漏えいしないように注意すべきです。
相談を受けたらプライバシーへも配慮したうえで、速やかに事実関係の調査を進めましょう。
(4)対応と再発防止
パワハラの事実関係調査が終わったら、被害者や加害者への対応をしなければなりません。
実際にパワハラが起こっていたら、被害者を保護して加害者へ何らかの処置を行いましょう。
ただし、懲戒解雇などの厳しい処分を適用すると問題になるケースも多いので、法律上の要件を満たすかどうか慎重に検討すべきです。
問題が発生していた場合もしていなかった場合にも、原因を究明して再発防止の措置を取りましょう。
京都の益川総合法律事務所は、企業法務に積極的に取り組んでいます。
パワハラ対策に関心をお持ちの企業の方はお早めにご相談ください。
パワハラ防止法により企業に求められる対策
2022年4月から、中小企業もパワハラ防止措置の義務化の対象となりました。
中小企業もパワハラ対策をきちんと行わないと、法律違反となってしまうリスクが生じるため、法律の内容を知って慎重に対応しましょう。
今回は、パワハラ防止法の概要と企業に求められる対応について、弁護士が解説します。
社内のパワ-ハラスメント対策にお役立てください。
1 パワハラ防止法とは
「パワハラ防止法」(改正労働施策総合推進法)は、企業内のパワーハラスメント(パワハラ)を防止するために定められた法律です。
大企業については、すでに2020年6月1日から施行されました。
中小企業については、約2年の猶予が与えられ、2022年4月1日に施行されました。
パワハラ防止法により、企業はパワハラ防止対策をとらねばなりません。
パワハラ防止法の目的、制定された理由
パワハラ防止法の目的は、日本企業における深刻なパワハラ問題を解消するためです。
パワハラ問題は、数ある労働問題の中でも相談件数が多く、パワハラを理由にうつ病になったり離職したりする労働者が少なくありません。
時には、自殺に至る痛ましいケースもあります。
貴重な人材が失われることは企業にとってもマイナスとなるでしょう。
そこで、働き方改革の一環として「パワハラ防止法」を定め、パワハラを撲滅しようとしているのです。
2 パワハラに該当する行為
パワーハラスメント(パワハラ)とは、職務上の地位や人間関係などの「優位性」を背景として、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える、あるいは職場環境を悪化させる行為をいいます。
以下の6つの類型があります。
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
企業がパワハラを防ぐには、まずは「どういった行動がパワハラになるのか」経営者側が正確に理解すべきといえるでしょう。
3 パワハラが生じたときの会社の責任
社内でパワハラが発生すると、加害者だけではなく企業にも責任が発生する可能性があります。
パワハラ加害者は通常、会社の被用者なので、使用者である会社には「使用者責任(民法715条)」が発生するケースが多数です。
また、職場環境をきちんと整備しなかったことにより、安全配慮義務違反による債務不履行責任が発生する可能性もあります。
社内でパワハラが発生すると、他の従業員のモチベーションも低下するでしょうし、離職者が発生する可能性も高まります。
社会での評判が低下すると、新規採用にも影響が及ぶでしょう。
パワハラ防止法により、企業には従業員の訴えに対して適切に対応するよう求められます。
現代の日本企業において、パワハラ対策は必須といえるでしょう。
4 企業がパワハラ防止法に対応する方法
パワハラ防止法に対応するため企業として具体的に何をすればよいのか、お伝えします。
(1)経営者がパワハラを許さない態度を明示、従業員への教育や啓蒙を行う
まずは経営者サイドとして、パワハラを許さない態度を明らかにしましょう。
朝礼や広報誌などにおいて「パワハラを認めない」と明言したり、折に触れてパワハラ防止に言及したりするのも有効です。
また、従業員に対してはパワハラを行わないよう教育や啓蒙を行いましょう。
たとえば、就業規則でパワハラを禁止する、研修を行ってパワハラについての理解を深めるなどの対応方法があります。
(2)相談窓口の設置
パワハラ被害に遭った従業員が利用できる相談窓口を設置する必要があります。
いつでも気軽に相談できる体制を整えて、従業員に相談窓口の存在を知らせましょう。
相談したことや相談内容の秘密が守られる必要もあります。
(3)事実調査と加害者・被害者への適切な措置
実際に相談を受けた場合には、実際にパワハラが起こったのか事実関係を調査しなければなりません。
関係者のプライバシーや被害者の精神状態などにも配慮しながら、慎重に聞き取りなどの調査を進めましょう。
調査の結果、パワハラが発生したと明らかになれば、人事配置の見直しや加害者への措置を検討すべきです。
ただし、パワハラ行動の内容に対して加害者への処分が重すぎると違法となってしまう可能性があるので、加害者への懲戒処分を適用する際には慎重に対応しなければなりません。
特に、懲戒解雇までできるケースは限定されるので、迷ったときには弁護士に相談する方がよいでしょう。
一方、パワハラの事実を確認できない場合には加害者とされた労働者へ不利益な措置をとってはなりません。
(4)再発防止措置
パワハラ相談があった場合、企業は再発防止措置をとらねばなりません。
なぜパワハラ問題が生じてしまったのか、原因を明らかにして取り除く努力をしましょう
実際にパワハラがあったという認定にならなかった場合であっても、相談が行われたら再発防止措置をとるべきです。
同じようなトラブルが起こらないように対策を練り、実行しましょう。
(5)プライバシー保護と不利益取扱禁止
パワハラ相談への対応方法にも慎重さが求められます。
被害者や関係者などのプライバシーを守る必要がありますし、相談や調査への協力をしたことで不利益を受けるようなことがあってはなりません。
5 パワハラ対策は弁護士へ相談を
企業が法的リスクを避けて適正に労働安全管理を進めるには、労働実務に長けた弁護士によるサポートが必要不可欠です。
企業側の労働法務に詳しい弁護士の意見を聞きながら対応していれば法律違反にならず、パワハラ対策も十分にできるでしょう。
京都の益川総合法律事務所では、企業側の労働相談に力を入れて取り組んでいます。パワハラやセクハラなどのハラスメント対策、労務管理に詳しい弁護士をお探しの方がおられましたらお気軽にご相談ください。
退職勧奨とは 進め方について弁護士が解説
問題社員を解雇したい場合には、解雇通知を送る前に「退職勧奨」をするようにお勧めします。
退職勧奨に成功して従業員が自主的に退職すれば、解雇トラブルのリスクを大きく軽減できるからです。
今回は、退職勧奨とはどういった手続きなのか、適切な進め方も合わせて弁護士が解説します。退職させたい問題社員を抱えている企業の方はぜひ参考にしてみてください。
1 退職勧奨とは
退職勧奨とは、雇用者が従業員に対して自主的な退職を促すことです。
あくまで退職を勧めるだけであり、強制はできません。
解雇と退職勧奨の違い
解雇は企業側が一方的に労働契約を打ち切るのに対し、退職勧奨の場合には従業員側から自主的に退職するものです。
企業側が労働者を解雇するには労働契約法上の厳しい要件を満たさねばなりません。
一方、退職勧奨であれば解雇の要件がなくても問題社員を辞めさせることができます。
解雇トラブルを防ぎつつ問題社員を退社させるのが、退職勧奨の目的といえるでしょう。
2 退職勧奨のメリット
退職勧奨には、以下のようなメリットがあります。
(1)解雇の要件がなくても退社させられる
労働法により労働者は強く保護されています。雇用者側が解雇するには、労働関係法令の定める厳格な要件を満たさねばなりません。
一般的な普通解雇であれば、解雇の客観的合理的理由や社会的相当性が必要です。
また、法律上解雇できないケースもありますし、解雇予告または解雇予告手当の支給もしなければなりません。
退職勧奨による自主退職であれば、そういった法律上の規定は適用されず、退社を実現しやすいメリットがあります。
(2)不当解雇と主張されるリスクが低い
解雇をすると、後に従業員が「不当解雇」として訴えてくる可能性があります。
裁判で「解雇要件を満たしていない」と判断されると解雇が無効となり、未払い賃金などの支払いを命じられてしまいます。
未払い賃金には遅延損害金も付加されるので、予想外に高額になるケースも少なくありません。
退職勧奨によって従業員が自主的に退職すると、不当解雇と主張されるリスクは大きく軽減されます。
労働審判や労働訴訟に巻き込まれる手間もかからず、不利な審判や判決が出てしまうおそれもありません。
3 退職勧奨の手順
STEP1 退職勧奨の方針を固める
まずは、退職勧奨の対象者や退職を促す理由、スケジュールなどについて方針を固めましょう。
その上で経営者や役員、直属の上司などの関係者において退職勧奨の方針を共有します。
STEP2 対象社員に退職を促す
計画を立てたら対象の従業員に対し、退職を促しましょう。
別室に呼び出して面談を行い、退職を勧めるのが一般的です。
従業員から退職勧奨する理由を尋ねられるケースも多いので、答えられるように事前に理由を検討してまとめておきましょう。
STEP3 退職届を作成させる
従業員が退職に納得したら、退職届を作成させましょう。
書面化しておかないと、後に気が変わって退職させられなくなってしまう可能性があるので、その場で署名押印してもらいましょう。
STEP4 退社後の諸手続きを行う
従業員が退社したら、労働保険や社会保険などの諸手続きをしなければなりません。
社会保険の場合には退社後5日以内、雇用保険は退社後10日以内に資格喪失の届出が必要なので、早めに対応しましょう。
離職票を受け取ったら従業員の分を本人へ送付し、退職金や未払い賃金の支払いなども必要に応じて行う必要があります。
4 退職勧奨を行う際の注意点
退職勧奨の方法を間違えると「違法」となり、退職が無効となってしまう可能性があります。
以下では、退職勧奨を法的に正しい方法で進めるための注意点をお知らせします。
(1)拒否しているのにしつこく退職を勧めない
従業員が退職を拒否しているにもかかわらず、しつこく退職を勧めてはなりません。
従業員が退職勧奨に応じない姿勢を明確に示したことが、違法性の判断について大きな指標となるからです。
(2)暴力的、脅迫的な退職勧奨をしない
対象者が退職しないからといって、暴力的、脅迫的な退職勧奨をしてはなりません。
仕事を与えない、過剰な仕事を与えるなどの嫌がらせをして退社に追い込んでも違法となる可能性があります。
(3)「退職届を作成するまで帰さない」のは違法となる可能性が高い
従業員を別室に呼び出して「退職届を作成するまで帰さない」などと告げて監禁すると、退職強要となって違法と認定される可能性が高まります。
「退職はあくまで任意」という基本を忘れてはなりません。
(4)長時間、頻繁な退職勧奨はしない
1回の面談における説得時間や退職勧奨の頻度についても、注意が必要です。
2時間以上に及ぶ長時間の退職勧奨や頻繁過ぎる退職勧奨が行われると、違法と認定される可能性が高くなります。
合法的に退職勧奨を行い、解雇トラブルを防いで円満退社させるには、法的な知識が必要です。
自己判断で退職を強要してしまい、後に退職が無効になっては意味がありません。
京都の益川総合法律事務所では、企業側の労働法務への支援体制を整えています。
問題社員の解雇や退職勧奨についても、お気軽にご相談ください。
問題のあるアルバイト、パート社員を解雇することはできるのか
アルバイトやパート社員であっても、真面目に働かない場合や問題行動をとる場合などには解雇できる可能性があります。
ただし、雇用者側が一方的に解雇するには、法律の定める厳しい条件を満たさねばなりません。
アルバイトやパート社員をむやみに解雇すると「不当解雇」となり、未払い賃金や慰謝料を請求されるリスクが発生します。
今回は、問題があるアルバイトやパート社員を解雇できるケースや注意点を弁護士が解説しますので、問題社員を辞めさせたい方はぜひ参考にしてみてください。
1 アルバイトやパート社員を解雇できる条件
アルバイトやパート社員も解雇できますが、労働関係法令の求める要件を満たさねばなりません。
労働者にとって、従業員としての地位は生活の基盤となる極めて重要なものであるため、法律上、解雇は厳しく制限されています。
具体的には、「解雇の客観的合理的理由」と「社会的相当性」が必要です。
- 解雇の客観的合理的理由…対象の従業員を解雇せざるを得ない客観的かつ合理的な理由です。たとえば、アルバイト従業員が無断欠勤を続けた場合、SNSへの不適切な投稿によって企業への信用を貶めた場合などには解雇が認められやすいでしょう。
- 社会的相当性…解雇方法が社会的に相当でなければなりません。企業としてはなるべく解雇を避けるための努力を行い、適切な解雇手続きを履践すべきです。
2 アルバイト、パートの懲戒解雇や整理解雇も可能
(1)懲戒解雇について
アルバイトやパート社員が就業規則に違反して懲戒事由に該当する場合には、懲戒解雇できる可能性があります。
ただし、対象者の問題行動と懲戒解雇にバランスがとれていなければなりません。
軽微な問題行動があるだけで懲戒解雇すると、懲戒権の濫用として解雇が無効になる可能性があります。
(2)整理解雇について
経営不振に陥っていてどうしても企業が存続するためにアルバイトやパート社員を解雇しなければならない場合には「整理解雇」が認められる可能性もあります。
ただし、整理解雇する場合には、解雇の必要性、解雇回避努力、人員選定の相当性、労働者側との十分な協議といった要件を満たさねばなりません。
3 アルバイト、パート社員を解雇するときには解雇予告が必要
雇用者が従業員を解雇するには、原則的に30日前に解雇予告しなければなりません。
対象者がアルバイトやパート社員でも解雇予告は必要です。
ただし、30日前に間に合わない場合には、不足日数分の解雇予告手当を支払えば解雇できます。
解雇予告または解雇予告手当の支給を行った上で解雇通知を送りましょう。
30日分の解雇予告手当を払えば即日解雇も可能です。
ただし、解雇の客観的合理的理由と社会的相当性の要件を満たさねばなりません。
4 有期雇用契約のアルバイトやパート社員の場合
アルバイトやパート従業員の場合、期間を定めて雇用しているケースもよくあります。
有期雇用契約における注意点をみてみましょう。
(1)契約期間中の解雇は厳しく判断される
期間の定めのある従業員の場合、契約期間中の解雇は基本的に困難です。
従業員側とすれば、契約期間中は雇用し続けてもらえると期待しており、その期待は保護されるべきだからです。
契約期間が満了するまで解雇を待つ方が、確実に辞めてもらいやすいでしょう。
ただし、期間中でも従業員側に重大な非違行為があれば、懲戒解雇できる可能性はあります。
状況次第では、普通解雇や整理解雇が認められる可能性もあるので、迷われたら弁護士へご相談ください。
(2)契約満了時に更新しない「雇止め」について
アルバイトやパート社員との雇用契約に期間の定めがある場合、期間満了時に契約を更新しなければ自然に辞めさせることができます。
このように、労働契約を更新しないことを「雇止め」といいます。
ただし、以下のような場合、雇止めであっても30日前に予告をしなければなりません。
- 労働契約が3回以上更新されている
- 契約期間が1年以下の有期労働契約が更新されて、通算1年を超えている
- 有期労働契約の期間が1年を超えている
(3)雇止めが認められないケース
雇止めであっても、企業側が自由に雇止めをすることを認められるわけではありません。
たとえば、以下のような事情があると、雇止めが無効になる可能性が高くなります。
- これまで繰り返し契約を更新していた
- 雇入れ時に契約更新を前提としていた
- 従業員との間で、契約更新を前提としたやり取りがあった
上記のような場合、従業員側からすると「次回も契約更新してもらえるだろう」と期待するものです。
その期待を保護する必要があるため、企業側による雇止めが制限される可能性があります。
これを、「雇止め法理」といいます。
雇止め法理によって雇止めが無効になると、以前と同じ条件で労働契約が継続することとなります(労働契約法19条)。
5 アルバイト、パートの解雇を弁護士に相談するメリット
アルバイトやパートの従業員であっても、解雇や雇止めには法による厳しい制約があります。
軽く考えて解雇通知を送ると、不当解雇と主張されてトラブルになる可能性が高いと考えましょう。
安全かつスムーズに辞めさせるには、法律の専門家によるアドバイスやサポートを受けるのが得策です。
京都の益川総合法律事務所では、企業側の労働相談に積極的に対応しております。
解雇や残業代、労働審判などの労働問題でお悩みごとや疑問点がありましたら、お気軽にご相談ください。
労働審判を申し立てられてお困りの企業の方へ
労働審判を申し立てられたら、すぐに適切な準備を開始すべきです。
企業側に与えられる時間的余裕が少ないため、タイトな期間内に適切な答弁書を作成し、裁判所へ提出しなければなりません。
対応を間違えると調停で不利になったり、後の審判内容が自社に不利益なものとなったりするリスクが高くなります。
労働審判に対応するには、法的な知識を要するので、申し立てられたらできるだけ早めに弁護士へ相談しましょう。
今回は、労働審判を申し立てられたときに弁護士に依頼するメリットをお伝えします。
1 労働審判を申し立てられた企業が対応すべき事項
労働審判を申し立てられたら、企業側は非常に短い期間にさまざまな対応をしなければなりません。
第1回期日までに、労働者側の主張に反論するための「答弁書」を提出する必要があるからです。
答弁書を作成するには、以下のような対応をとらねばなりません。
- 労働者側の主張に間違いはないか、法的に反論できる事項がないか検討
- 直属の上司や同僚からの聞き取り調査
- 法的な観点から企業側の主張を固める
- 企業側の主張を補強する証拠集め
- 答弁書を作成
第1回期日は、基本的に申し立てがあってから40日以内に設定されるので、企業が答弁書を作成できる期間は実質20日程度となってしまうケースもあります。
短期間に急いで適切な書面を作成しなければならないので、労働審判を申し立てられることは、企業にとって負担が重いともいえます。
2 労働審判で弁護士がしてくれること
労働審判の手続きは弁護士へ依頼できます。
弁護士がどういったサポートを行うのか、みてみましょう。
(1)労働者側の主張を法的に分析
企業側に法律の専門的な知識がない場合、労働者側の主張内容を法的に分析するのは簡単ではありません。
弁護士は、法律知識をもっているので、労働者側の主張内容が法的に正しいかどうかを分析して依頼企業へ伝えられます。
(2)状況に応じた適切なアドバイス
労働審判では、雇用者側と企業側の労働トラブルが取り扱われます。
内容は、不当解雇やハラスメントトラブル、残業代不払いや違法な長時間労働、労災トラブルなどさまざまです。
相手方となった企業としては、事案に応じて適切な対応をとらねばなりません。
弁護士であれば企業に対し、事案に応じた最適な対処方法をアドバイスできます。
(3)事実関係の調査
労働審判に対応するには、事実関係の調査を進めなければなりません。
弁護士に依頼すると関係者からの聞き取りや証拠化など、調査方法などについてアドバイスを受けられるので、スムーズに進められます。
(4)証拠集めのサポート
労働審判でも証拠を集める必要がありますが、自社ではどういったものが有効かわからないケースも多いでしょう。
弁護士は証拠集めのサポートも行います。
(5)答弁書の作成
自社で答弁書を作成すると大変な手間がかかりますし、適正なものができるとも限りません。
弁護士に依頼すると、答弁書を作成してもらえるので企業に作成の手間がかかりませんし、必要十分な内容を盛り込んで自社に有利な書面を作成できるでしょう。
(6)期日に同行して発言
弁護士は労働審判の期日に同行して発言をします。
自社ではどういったことを主張すればよいのかわからない場合にも安心です。
(7)異議申し立ての対応
労働審判が出たとき、納得できなければ異議申し立てが可能です。
弁護士がいれば、異議申し立てすべきかどうかアドバイスを受けられますし、異議申立書の作成、提出などの手続きも任せられます。
(8)訴訟への対応
労働審判から訴訟に移行したときの対応も弁護士に任せられるので安心していただけるでしょう。
3労働審判を弁護士に依頼するメリット
(1)法的に適切な対応ができる
労働審判に適切に対応するには、労働法等に関する正確な知識が必要です。
弁護士であれば法律に精通しているので、効果的な答弁書を作成できますし審判にも適切に対応できます。
(2)迅速に対応できる
労働審判を申し立てられたら、すぐにでも準備にとりかかってスピーディに答弁書を用意しなければなりません。
自社のみでは対応が不十分となってしまうケースが多数です。
弁護士であれば、答弁書を作成する準備や作成、裁判所への提出などすべてに対して迅速かつ適切に対応できるので、任せていれば安心できるでしょう。
(3)有利に解決できる可能性が高まる
労働審判を有利に進めるためには、法的な知識や労働審判手続きについてのノウハウが必要です。
企業側の労働法務に精通している弁護士であれば、労働法に関する知識やこれまでの労働審判、訴訟などの経験を踏まえて適切に対応できるものです。
依頼すると、企業側にとって有利に解決できる可能性が大きく高まるメリットがあります。
(4)手間が軽減される
労働審判は、企業にとって負担のかかる手続きです。
対応をおざなりにすると、後に受ける不利益が大きくなってしまうリスクが発生します。
かといって、従業員や経営者が対応すると、日頃の業務がおろそかになって生産性が低下してしまう要因にもなるでしょう。
弁護士に全面的に任せれば、企業のマンパワーを割く必要が減ります。
経営者は経営に集中できますし、従業員も通常業務に取り組むことができて、効率的な事業運営が可能となるメリットがあります。
京都の益川総合法律事務所では、企業側の労働法務に力を入れております。
労働審判を申し立てられたなら、お早めにご相談ください。
労働審判については、こちらのページで詳しく解説しています。
労働審判とは
労働審判(ろうどうしんぱん)とは、雇用者と労働者との間で発生した労働トラブルを解決するための裁判所における専門的な手続きです。
1名の労働審判官と2名の労働審判員が担当し、実情に即して迅速で適正な解決をはかります。
平成18年4月に開始された比較的新しい制度です。
企業が従業員とトラブルになると、労働審判を申し立てられる可能性があります。
原則として3回以内の期日で審理を終えることとなるため、企業側としては当初の段階から適切に対応しなければなりません。
今回は労働審判の特徴や流れなどの概要を弁護士がご説明しますので、労働トラブルへの備えとして参考にしてみてください。
1 労働審判の特徴
労働審判には、以下のような特徴があります。
(1)スピーディな解決
労働審判の期日は原則として3回までであり、1回目や2回目で解決するケースも多数あります。
申立てから終結までの期間は、およそ77日で約2か月半となっています。
迅速な解決が可能となるのが1つ目の特徴です。
(2)話し合いによる柔軟な解決が可能
労働審判が始まると、まずは調停による話し合いでの解決を目指します。
お互いの譲り合いによる柔軟な解決が可能です。
審判になった場合にも、裁判所は紛争解決のために相当な事項を定めることができます。
たとえば、企業側が労働者へ金銭を支払う場合でも分割払いを設定したり、支払いに条件をつけたりして、実態に即した解決方法を示せます。
(3)労働関係の専門家が関与する
労働審判においては、労働審判官(裁判官)1名と労働審判員2名で組織する労働審判委員会が手続きを進めます。
労働審判員という、雇用関係の実情や労使慣行等に関する詳しい知識や経験を持つ者が審理、判断に加わるということも、労働審判の大きな特徴です。
2 労働審判で解決できる労使トラブルの種類
労働審判では「雇用者と労働者間の労使トラブル」が審理の対象になります。
具体的には以下のような事例がよくあります。
(1)未払い残業代の請求
労働者側が「残業代が適正に払われていない」と考えると、労働審判を申し立ててくる可能性があります。
労働者側の主張が必ず正しいとは限らないので、申立を受けた企業としては内容をしっかり分析して対応しましょう。
(2)不当解雇
解雇要件を欠くと考えられる場合、労働者が不当解雇として労働審判を申し立てる可能性があります。
不当解雇となると、未払い賃金をまとめて払わなければならない等、企業側に大きな損失が発生するでしょう。
労働者側の主張内容に理由があるのか法的観点から検討し、反論できる点は反論すべきです。
(3)ハラスメントのトラブル
セクハラやパラハラなどのトラブルが起こった場合でも、労働者が企業の責任を追求して労働審判を起こす可能性があります。
3 労働審判の手続きの流れ
労働審判の手続きは、おおむね以下のような流れで進みます。
STEP1 労働審判の申立て
多くの場合、労働者が申立人となって労働審判を申し立てます。
管轄は、使用者の本店所在地や事業所所在地を管轄する地方裁判所となることが多いです。
STEP2 雇用者側への通知
労働者側の申立内容に不備がない場合、申立が裁判所で受理されて労働審判の期日が指定されます。
特別の事由がある場合を除き、第1回目の期日は申立てから40日以内となるのが原則です。
期日が決まると、企業側へ期日の呼出状や申立書、証拠、証拠説明書などの書類が送付されます。
STEP3 答弁書の提出
企業側の言い分がある場合、労働審判官が定めた期日までに答弁書や証拠書類を提出しなければなりません。
STEP4 第1回期日
第1回目の期日では、争点や証拠の整理、証拠調べがなされ、調停による話し合いが試みられます。
調停案に当事者双方が同意すると、調停が成立して解決します。
合意できなければ第2回期日の日程を決めます。
なお、簡明な事案で、調停の成立が見込めないような場合には、第1回期日に労働審判が出されることもあり得ますし、複雑な事案であり、労働審判による紛争解決に馴染まないとして手続きが終了する場合もあります。
STEP5 第2回期日
第2回目の期日では、第1回期日と同様に、争点や証拠の整理、証拠調べ、場合によっては口頭での意見陳述がなされ、また、話し合いを続行します。
両者が合意できれば調停が成立して事件が終了しますが、合意できなければ第3回目に持ち越されます。
労働審判が出されることがあり得るのは、第1回期日と同様です。
STEP6 第3回期日
第3回目の期日では、主に調停の試みがなされます。
合意できない場合には調停は不成立となり、審理の終結が宣言され、労働審判が告知されます。
STEP7 労働審判
労働審判委員会から審判が告知されます。
審判は話し合いではないので、希望通りの内容になるとは限りません。
2週間以内に双方から異議申立てが行われない場合、審判が確定します。
STEP8 異議申し立て
審判に対しては双方から異議申し立てが可能です。
異議申し立てがあると労働審判は、効力を失い、手続きは自動的に訴訟へ移行します。
異議申し立ては、審判書の送達や告知を受けた日から2週間以内に行わねばならないので、不服がある場合にはスピーディに対応しましょう。
企業側が労働審判を申し立てられたときには、当初から適切に対応する必要があります。
京都の益川総合法律事務所では企業側の労働案件に力を入れていますので、裁判所から書類が届いたらお早めにご相談ください。
弁護士のセカンドオピニオンについて
依頼している弁護士や顧問弁護士の意見や提案に対し、ふとした疑問をもったときには、別の弁護士による「セカンドオピニオン」を受けてみるのが有効です。
セカンドオピニオンを受けたからと言って、今の弁護士に対する礼を失するわけではありません。
今回は、弁護士のセカンドオピニオンとはなにか、メリットやデメリット、活用方法をお伝えします。
「別の弁護士の意見も聞いてみたい」という方はぜひ参考にしてみてください。
1 弁護士のセカンドオピニオンとは
セカンドオピニオンとは、今相談や依頼している弁護士とは別の弁護士からもらう意見です。
たとえば、顧問弁護士のいる企業の場合、何か問題が起こったらまずは顧問弁護士へ相談するでしょう。
ただ、顧問弁護士の専門分野でない案件もありますし、顧問弁護士の提案内容がしっくりこない場合もあります。
そういった状況下において、無理に顧問弁護士に対応を依頼し続けると良い結果を得られなかったりストレスが溜まってしまったりするでしょう。
そこで、専門性をもった別の弁護士に意見を求めたり、別の弁護士に今の処理方針を伝えて意見を聞いたりするのがセカンドオピニオンです。
セカンドオピニオンを利用しても、弁護士を変えるわけではありません。
単に意見を聞いて参考にするだけです。
ただし、セカンドオピニオンを受けた弁護士を気に入れば、変更することも可能です。
別の弁護士からセカンドオピニオンを受けたからといって、今の弁護士への裏切りにはならないので、気軽に利用しましょう。
2 弁護士のセカンドオピニオンを利用すべき状況とは?
以下のような状況であれば、弁護士のセカンドオピニオンの利用を検討するようおすすめします。
- 今相談している弁護士の意見が本当に最適なのか疑問がある
- 依頼している弁護士の方針に不安がある
- 今の弁護士が希望を聞いてくれない
- 今の弁護士が十分な説明をしてくれないので不安を感じている
- 今の弁護士が専門性を持っていないので専門の弁護士の意見を聞いてみたい
- 今依頼している弁護士との信頼関係を築けていない
- 今の弁護士には遠慮して話せない
- 今の弁護士に言っていない、言えないことがある
3 セカンドオピニオンのメリット
セカンドオピニオンを受けると、以下のようなメリットを得られます。
(1)不安や疑問を解消できる
別の弁護士から受けたセカンドオピニオンの内容が今の弁護士と同じなら、今の弁護士へ安心して依頼し続けられます。不安や疑問を解消できるメリットがあります。
(2)不利益を防げる
別の弁護士のセカンドオピニオンが今の弁護士と異なる場合には、現在の進行方法を考え直すきっかけを得られます。
疑問や不安の内容を洗い出して再検討することにより、将来の不利益を防げるメリットがあるでしょう。
(3)今の弁護士へ伝えて参考にしてもらえる
別の弁護士から受けたセカンドオピニオンの内容に納得した場合、その内容を今の弁護士に伝えて参考にしてもらえます。
2人の専門家による意見を合わせた対応をすれば、より良い結果を得やすくなるでしょう。
(4)別の弁護士への変更も可能
セカンドオピニオンを受けた弁護士を気に入った場合には、そちらの弁護士への変更も可能です。
弁護士を比べてより良い方を選択できるというメリットもあります。
4 セカンドオピニオンのデメリット
依頼者や顧問企業が別の弁護士へセカンドオピニオンを求めた事実を知ると、今の弁護士が気分を害する可能性があります。
もちろんすべての弁護士ではありません。
セカンドオピニオンを求めるのは依頼者の自由なので、気にしない方が多いでしょう。
ただ中には機嫌を悪くする人がいるのも事実です。
いずれにせよ、他者の意見をまったく聞き入れない弁護士との間では、信頼関係を築くことが難しいという可能性もあるので、機嫌を損ねられたり対応が悪化したりするようであれば、依頼を継続するべきかについて再検討した方がよいかもしれません。
5 セカンドオピニオンを利用しても今の弁護士にはわからない
「セカンドオピニオンを利用すると、今の弁護士に知られるのではないか?」と心配される方もおられます。
実際には、セカンドオピニオンを利用しても、そのことを今の弁護士に伝えたり、弁護士を変更したりしない限りはほぼ知られる可能性がありません。
セカンドオピニオンを受けた弁護士から通知されることはありませんし、その他の方法でも伝わるきっかけがないからです。
セカンドオピニオンを相談した弁護士にも守秘義務があるので、相談内容が他に漏えいする可能性もありません。
安心してセカンドオピニオンを利用しましょう。
6 セカンドオピニオンの利用方法
セカンドオピニオンを利用したい場合には、相談したい弁護士を選んで相談を申し込みましょう。
日程調整をすれば、面談などの方法で相談できます。
相談だけで終了するなら、それ以上に何もする必要はありません。費用を払って終了します。
弁護士を変えたいなら、セカンドオピニオン弁護士にその旨伝えて承諾を得て、弁護士同士で引き継ぎを進めてもらいましょう。
京都の益川総合法律事務所はセカンドオピニオンについても力を入れております。
セカンドオピニオンを聞いてみたい方は、お気軽にご相談ください。
個人、個人事業主で顧問弁護士をお考えの方へ
個人、個人事業主の方にも、顧問弁護士は非常に役に立つものです。
一般的に、「顧問弁護士といえば会社が契約するもの」と考えられているケースがよくありますが、実際には、顧問弁護士をつけている個人や個人事業主の方も多く、業務や日常生活に有効活用しておられます。
今回は、個人や個人事業主の方が顧問弁護士をつけるメリット、具体例についてお伝えします。
1 顧問弁護士とは
顧問弁護士とは、顧問契約を締結した相手のために法律的なアドバイスをしたり、優先的に対応したりする弁護士をいいます。
たとえば、以下のような業務を行います。
- 債権回収や労務問題等のトラブルについての法律相談
- 契約書のレビュー
- 各種規定のチェック
- 新法についての解説や対処方法のアドバイス
企業だけではなく個人や個人事業主でも顧問弁護士をつけられます。
費用面についても、利用の頻度や利用方法によって柔軟に対応できる事務所があるので、弁護士を選べばさほどの負担にはならないでしょう。
個人の場合には、企業より安く契約できるケースが多数となっています。
「個人には顧問弁護士のハードルが高い」と躊躇する必要はありません。
2 個人や個人事業主が顧問弁護士を利用するメリット
個人や個人事業主の方にも、顧問弁護士を利用するメリットが多くあります。
以下でご紹介します。
(1)迷ったときに気軽に法律相談ができる
顧問弁護士がついていると、わからないことがある場合や自分一人では判断しにくいとき、気軽に相談できます。
契約内容によって回数制限がもうけられる可能性がありますが、相談すれば、迅速に専門家による回答をもらえるので、高い安心感を得られるでしょう。
(2)費用が割り引かれることがある
実際に示談交渉や訴訟などの対応を依頼する際の弁護士費用(着手金や報酬金など)が割り引かれる事務所もあります。
(3)安心して生活できる
個人の方は、交通事故や労働トラブル、離婚や相続など、さまざまな法律トラブルに巻き込まれるリスクがあるものです。
顧問弁護士がいたら、何かあったときにすぐに相談でき、対応してもらえるので、安心して生活を送れるのもメリットといえるでしょう。
(4)リスクを抑えた事業経営ができる
個人事業主には、常に法的リスクがつきまとうものです。
たとえば、エンジニアなどのフリーランスの場合、相手が報酬を払ってくれないというトラブルに巻き込まれるケースが少なくありません。
製造業者や販売業者の場合、取引先や顧客からクレームが来る可能性もあります。
人を雇っている場合には、労働トラブルも発生するでしょう。
顧問弁護士がいたら、問題発生時にすぐに対応できるので、リスクを最小限にとどめられます。
日頃から法的アドバイスを受けて対応していれば、トラブルを避けやすくなるというメリットも大きいでしょう。
(5)法改正に対応できる
法改正が行われると、個人や事業主の方にも影響が及びます。
もっとも、自分で調べて対応するのは簡単ではありません。
多くの方が法律の詳しい内容を知らないまま生活や事業活動を行っているものです。
顧問弁護士がいたら、疑問がある部分について質問すれば、法改正や新法の内容についても伝えてもらえるので、常に最新の情報にアップデートして適切な行動をとれます。
法律を知り賢く対応できるのも顧問弁護士をつけるメリットとなるでしょう。
(6)不利益やトラブルを予防できる
個人や個人事業主の方が法律を知らないと、思わぬ不利益を受ける可能性があります。
たとえば、交通事故に遭ったとき、保険会社の提示する示談金額が適正とは限りません。
低い金額を提示されて受諾してしまうと、経済的に損をしてしまいます。
顧問弁護士がいれば、事前に相談して適正額を把握できるので、不当な提示に応じてしまうリスクがなくなります。
不利益やトラブルを防止できるのも顧問弁護士をつけるメリットの1つです。
3 個人が顧問弁護士を利用する場合の具体例
個人の方の場合、以下のような顧問弁護士の活用方法が考えられます。
- 交通事故に遭ったときに対応方法を相談する
- 相続が発生したときにどのように対応すべきか、今後の流れなどについて相談する
- 会社で突然解雇されたとき、不当解雇なのではないか相談する
4 個人事業主が顧問弁護士を利用する場合の具体例
個人事業主の場合には、以下のような利用方法が有効です。
- 日頃から利用する契約書の内容をチェックしてもらう
- 相手から提示された契約書に不利な点がないかチェックしてもらう
- 日常業務で不安がある場合に相談してアドバイスを受ける
- 取引先とトラブルになったときに対応を相談する
- 顧客からクレームが来たときに対応を相談する
- 事業内容に法的な問題がないか、チェックしてもらう
京都の益川総合法律事務所では、個人や個人事業主の方へも積極的に顧問弁護士のサービスを提供しています。
費用につきましても、利用形態に応じて設定しておりますので、まずは一度、お気軽にご相談ください。
顧問弁護士に依頼できる内容や契約すべきタイミング
「顧問弁護士は何をしてくれるのだろう?」
「会社がどのくらいの規模になったら顧問弁護士をつけるべき?」
顧問税理士に比べて、顧問弁護士の業務内容はイメージしにくく、中小企業の方は「うちにはまだ顧問弁護士はいらないだろう」と考えているケースも少なくありません。
しかし、顧問弁護士は規模の大きくない中小企業にこそ、必要性の高いものです。
今回は、顧問弁護士に依頼できる内容やメリット、契約すべきタイミングについてお伝えします。
1 顧問弁護士に依頼できる業務
そもそも、顧問弁護士にはどういった業務を依頼できるのか、みてみましょう。
(1)ビジネス法務のアドバイス
まずは、ビジネス法務のアドバイスを受けられます。
事業を行う際や契約締結の際、改正法が気になる場合など、弁護士から気になるポイントについてアドバイスを受けておけば、安心して取り組めます。
(2)契約書作成やレビュー
新規に取引を開始する際には、契約書を作成すべきです。
もっとも、自社で最初から契約書を作成すると手間がかかり、不備が生じるおそれもあるでしょう。
契約書の雛形をそのまま利用する場合も見受けられますが、このような場合、取引の実態と合致していないことも少なくありません。
また、取引先から提示された契約書には、自社に不利な点が含まれる可能性もありますが、レビューを受けない場合には、それに気付けないこともあるでしょう。
顧問弁護士から自社に不利な点がないか、契約内容を反映したものとなっているかなど、チェックを受けておけば安心です。
(3)労働関係法令の遵守をサポート
企業が安全に経営を進めるには、労働関係法令の遵守が必須です。
特に、近年は頻繁に法改正が行われていますし、テレワークの導入などに対応するには就業規則の見直しも必要となるでしょう。
顧問弁護士には労働関係法令を遵守するためのサポートも依頼できます。
(4)事業内容のリーガルチェック
新規事業を開始する際には、適法性のチェックが必須です。
知らず知らずのうちに違法な内容を含んでしまうと、投資をしても事業が頓挫して計画がすべて無駄になってしまうおそれもあります。
顧問弁護士に事前に相談してリーガルチェックを受けておけば、違法性のある事業を展開してしまうおそれを少なくすることができるでしょう。
(5)紛争、トラブル解決
企業経営をしていると、従業員や取引先、消費者などとの間で紛争が発生してしまうケースもあります。
顧問弁護士と契約をしている場合には、これらの対応を任せることができるので、契約していない場合と比して、経営者や従業員が交渉やトラブル解決のために時間や手間を少なくすることができるでしょう。
自社で対応するより有利に解決できる可能性も高くなります。
2 顧問弁護士と契約すべきタイミング
以下のような状況であれば、ぜひ顧問弁護士との契約を前向きに検討してみてください。
(1)自社に法務部がない
自社に法務部のない中小企業は、法務部を外注するものと考えて、顧問弁護士と契約するようにおすすめします。
法務部社員を雇うよりも圧倒的に低コストですし、正確性の高い法務サービスを受けられます。
(2)契約書を作成したい、見直したい
新規取引の契約書を作成したい、従来の契約内容を見直したい場合などにも顧問弁護士との契約を検討してみてください。
特に、今後継続的に契約関係が続く場合、類似の契約を締結する機会が増えてきそうな場合、何度も単発で依頼するより、顧問契約を締結してしまった方が割安になったり、弁護士探しの手間もかからなくなります。
(3)就業規則を見直したい
自社の就業規則を見直す場合にも、これを機会に顧問弁護士と契約すべきと考えます。
就業規則だけの問題ではなく、自社の労務管理体制全体のチェックを受けて、現在の法制度に対して適正な状態になっているか確認しましょう。
(4)新事業を開始する
新たな事業を開始する際には、法的側面からのチェックが必須です。今後安全に事業展開していくためにも、顧問契約を締結して弁護士と二人三脚で進めましょう。
(5)事業承継やM&Aを行う
事業承継やM&Aを安全に進めるには弁護士による法的支援が必要です。
これらの手続きには長い時間がかかるので、顧問契約を締結して継続的な支援を受けましょう。
(6)定期的に債権回収の事件が発生する
定期的に未払報酬や未払賃料等の債権回収の事件が発生しやすい業種を営んでいるなら、顧問弁護士の活用をおすすめします。
その都度弁護士を探すのは労力がかかりますし、顧問弁護士を活用したほうが、弁護士費用が安価となることも少なくありません。
(7)上場を目指す場合
将来上場を目指しているなどの事情がある場合、自社のみで適正に対応するのは困難です。
顧問弁護士から継続的に支援を受けながら、目標へ向けて進みましょう。
益川総合法律事務所は中小企業の顧問弁護士として、日々相談業務に対応するなど、長年にわたり、リーガルサポートに力を入れております。
自社に法務部のない中小企業の方、顧問弁護士に興味のある企業の方など、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
離婚に伴う財産分与で約200万円の減額に成功した事案【解決事例】
・キーワード
離婚に伴う財産分与、訴訟
・ご相談内容
ご依頼者は離婚及び離婚に伴う財産分与の請求を受けた側です。
ご依頼者は、相手方により、離婚等を求める調停を申し立てられ、調停についてはご自身で対応されました。
その後、調停が不成立となり、訴訟を提起された段階で、ご自身での対応に限界を感じられたこと、多額の財産分与を請求されていることについて不安を感じられたことから、当事務所にご依頼されました。
・当事務所の対応及び結果
訴訟においては、財産分与の金額が大きな争点となりました。
当方は、証拠を示したうえで、相手方が財産分与の対象財産として主張している財産が、ご依頼者の特有財産であり、財産分与の対象とならないとの反論を行いました。
当方の反論について、相手方も認めたため、当初の相手方の請求金額よりも約200万円減額した金額での財産分与を内容とする和解が成立しました。
・コメント
相手方からの財産分与の請求の内容について、ご依頼者としっかりと打ち合わせを行ったうえで、証拠を揃えて反論を行い、相手方もそれを認めたという事案です。
打ち合わせの中では、弁護士からご依頼者に、財産分与の対象となる財産、ならない財産についてご説明し、相手方が財産分与の対象としている財産の中に特有財産等はないか、特有財産であることについての証拠はあるかについて丁寧に聴き取りを行っていきました。
当方の特有財産という主張を相手方に認めさせたこと、結果として約200万円の減額に成功したことから、ご依頼者に大変満足して頂けました。
※事件の内容については、特定できない程度に抽象化しています。
離婚の財産分与については、こちらのページで詳しく解説しています。