コラム
弁護士の交渉により、交通事故の損害賠償額を約65万円増額することに成功した事案【解決事例】
・キーワード
交通事故、人身、示談交渉
・ご相談内容
ご依頼者は、バイクで道路を走行中、前を走っていた自動車の急な左折に巻き込まれ、右尺骨茎状突起骨折等の怪我をしてしまいました。相手方保険会社との交渉をご自身でされてきたのですが、弁護士に任せたいということで、当事務所にご依頼されました。
・当事務所の対応及び結果
相手方保険会社とは、主に通院慰謝料と過失割合について争いになりました。通院慰謝料については、弁護士基準(裁判基準)によるべきと主張し、過失割合については、本件事故の具体的な状況を指摘し、主張を行いました。
あわせて、訴訟となった場合のリスクや法的見通し等の観点から粘り強く交渉を行いました。その結果、当初の提示金額より約65万円増額した賠償額を引き出すことに成功しました。
・コメント
弁護士の交渉により、損害賠償額を約65万円増額することに成功した事案です。
また、ご依頼者からは、治療費の打ち切りについて延長を求める交渉に成功した点についても、喜んで頂きました。
本件のように、弁護士が交渉を行うことにより、損害賠償額を増額することができる事案もありますので、お気軽にご相談頂ければと思います。
※事件の内容については、特定できない程度に抽象化しています
通院慰謝料については、こちらのページで詳しく解説しています。
離婚成立後に財産分与の請求をする方法について
離婚成立時に財産分与について合意しなかった場合、離婚成立後であっても財産分与を請求できます。ただし、離婚成立後の財産分与請求には期限もあるので、早めに対応しなければなりません。
この記事では、離婚成立後に財産分与請求をする方法について、京都の弁護士が解説します。
協議離婚などで離婚成立時に財産分与の取り決めをしなかった場合、ぜひ参考にしてみてください。
1 財産分与は離婚成立後でも請求できる
夫婦が離婚する際には、財産分与の取り決めができます。
財産分与とは、夫婦が婚姻中に取得した財産について、離婚する際又は離婚後に分けることをいいます。
協議離婚の場合、離婚成立時に夫婦が話し合って財産分与の方法を決定するケースが多いでしょう。
もっとも、離婚を急いでいたなどの事情があり、離婚成立時に財産分与の話し合いができない場合もあります。
たとえば、DV事案で相手から逃れて早く離婚したかった場合、財産分与を請求できないこともあるでしょう。
離婚成立時に財産分与を受けられなくても、離婚成立後に財産分与請求できる可能性があります。
離婚成立後、一定期間であれば、基本的に財産分与請求が可能です。
2 離婚成立後に財産分与請求できないケース
ただし、以下のような場合には、離婚成立後に財産分与請求ができません。
(1)相手と「財産分与しない」和解をしている
1つは、相手方との間で「財産分与請求をしない」と約束してしまっているケースです。
財産分与をしない内容で合意してしまっているので、後に財産分与請求ができません。
ただし、相手から騙されたり脅迫されたりして「財産分与請求しない」と合意させられた場合などには、財産分与を請求できる可能性があります。
(2)財産分与の期限を過ぎてしまった
2つ目として、財産分与の期限を過ぎてしまった場合です。。
財産分与には「離婚成立後2年間」という期限があります。
この期間内に財産分与請求しないと、財産分与請求権が失われてしまいます。
離婚成立後に財産分与請求したいのであれば、早めに対応する必要があるといえるでしょう。
3 離婚成立後に財産分与請求する手順
離婚成立後に財産分与請求する手順をご説明します。
(1)相手に協議を持ちかける
離婚成立後であっても、財産分与請求をする場合には基本的に話し合いによって決定します。
まずは、相手方に対し、財産分与についての協議を持ちかけると良いでしょう。
話し合いで財産分与の方法を決定します。
合意ができたら決定内容を「財産分与に関する合意書」にまとめましょう。
財産分与に関する合意書は、できれば公正証書にしておくようおすすめします。
公正証書に強制執行認諾文言を記載しておけば、相手が支払いを怠った場合には、スムーズに相手の財産を強制執行することが可能です。
公正証書がない場合には、相手が支払いをしないときにあらためて調停などの手続きをしなければなりません。
(2)財産分与調停を申し立てる
相手に財産分与の協議を持ちかけても応じてもらえない場合には、家庭裁判所で財産分与調停を申し立てましょう。
調停では、調停委員が間に入って話し合いを仲介してくれます。
自分たちだけでは解決できないケースでも話がまとまりやすくなるというメリットがあります。
また、財産分与の2年の期限が過ぎてしまいそうな場合でも、2年が経過する前に調停を申し立てれば調停の係属中に2年が過ぎても権利が守られます。
そこで、離婚成立後2年の除斥期間が過ぎてしまいそうな場合には、相手と話し合うステップを飛ばして財産分与調停を申し立てるケースも少なくありません。
(3)財産分与審判で財産分与の方法が決まる
財産分与調停で話し合っても両者が合意できない場合には、財産分与審判を利用します。
なお、財産分与調停が不成立になると自動的に審判に移行するので、別途審判を申し立てる必要はありません。
審判では、審判官(裁判官)が財産分与の具体的な方法を決定して、審判を下します。
調停と異なり、相手が納得しなくても、裁判所の判断を得ることができます。
4 基準時は離婚時または別居時とする
離婚成立後に財産分与請求するとき、いつの時点の財産を基準にするかという問題があります。
これについては、基本的に離婚時または別居時となります。
離婚前に別居していたら別居時、別居していなかったら離婚時です。
「話し合いをした時点」ではないので、基準時を間違わないように注意しましょう。
5 除斥期間が経過していても財産分与請求できる場合
離婚成立後の財産分与には、「離婚後2年間」の除斥期間が適用されます。
ただし、2年が経過していても、例外的に財産分与請求できる可能性があります。
それは、以下のような場合です。
- 相手から脅迫されて財産分与請求ができなかった
- 相手からだまされて請求すべき財産がないと思わされていた
- 相手が財産を隠していた
上記のような場合、不法行為に基づく損害賠償請求として、財産分与相当額を請求できる可能性があります。
相手からだまされて2年以内に財産分与を請求できなかった場合などには、2年が経過していてもあきらめずに弁護士へ相談しましょう。
京都の益川総合法律事務所では離婚や財産分与のサポートに力を入れて取り組んでいます。お困りの方がおられましたらお気軽にご相談ください。
ご依頼者の声2
・ご回答者様
男性
・ご年齢
30代
・ご依頼内容
交通事故
・弁護士の説明はいかがでしたか。
■非常によい ▢よい ▢普通 ▢悪い ▢非常に悪い
・弁護士、事務員の対応はいかがでしたか。
■非常によい ▢よい ▢普通 ▢悪い ▢非常に悪い
・解決結果についてご納得頂けましたか。
■非常に納得 ▢納得 ▢どちらともいえない ▢納得できない ▢全く納得できない
・お困りの方に、益川総合法律事務所を紹介したいですか。
■紹介したい ▢どちらともいえない ▢紹介したくない
・担当弁護士、事務員に対するご意見やご感想を頂ければ幸いです。
親身に相談に乗っていただき、こちらの疑問点なども丁寧に答えていただき非常に助かりました。
相手方との交渉も粘り強くして下さり、解決結果についても非常に満足しています。本当にありがとうございました。
【コメント】
事件に関係して、様々な疑問をお持ちになっていたため、ひとつひとつ丁寧にご説明することを心がけました。
また、少しでもご依頼者にとって良い結果となるよう、相手方と何度も交渉を重ねた末に解決に至った事案であるため、結果にご満足頂け、とても嬉しく思います。
ご依頼者の声1
・ご回答者様
男性
・ご年齢
60代
・ご依頼内容
交通事故
・弁護士の説明はいかがでしたか。
■非常によい ▢よい ▢普通 ▢悪い ▢非常に悪い
・弁護士、事務員の対応はいかがでしたか。
■非常によい ▢よい ▢普通 ▢悪い ▢非常に悪い
・解決結果についてご納得頂けましたか。
■非常に納得 ▢納得 ▢どちらともいえない ▢納得できない ▢全く納得できない
・お困りの方に、益川総合法律事務所を紹介したいですか。
■紹介したい ▢どちらともいえない ▢紹介したくない
・担当弁護士、事務員に対するご意見やご感想を頂ければ幸いです。
小さな案件にもかかわらず、御尽力いただきありがとうございました。
当初、損保担当、損保紹介弁護士とも、小さな案件なのでしょうか、
ぞんざいな対応でした。(甘くはないと痛感しました。)
貴事務所の益々のご発展を、お祈り申し上げます。
【コメント】
当事務所にご相談に来られる前に、保険会社より紹介を受けた弁護士と面談をされたそうですが、その対応にご不満をお持ちでした。
ご依頼者の気持ちや心情に配慮して、丁寧に聴き取りを行ったうえで事件をすすめ、その結果解決に至ったため、ご依頼者には大変満足して頂けました。
内容証明郵便とは?書き方や出し方を弁護士が解説
「内容証明郵便はどのように作成すれば良いのでしょうか?」
といったご相談を受けるケースがよくあります。
内容証明郵便は、慰謝料請求を行うときや各種の通知書、警告書を送る場合などによく利用されています。
もっとも、日常的に使う郵便ではないので、どうやって作成すれば良いのか、どのような文面にすればよいのかなど迷ってしまう方が少なくありません。
この記事では、内容証明郵便とはどういった郵便で、どのように作成するのか(書き方)、発送方法(出し方)などについて京都の弁護士がお伝えします。
内容証明郵便で請求書や通知書を送りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
1 内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、いつ、どのような内容の文書を誰から誰に差し出されたかについてを謄本によって証明してくれる郵便です。
内容証明郵便を利用すると、差出人の手元と郵便局に相手に送ったものと全く同じ内容の謄本(控え)が残ります。
したがって、相手から「そのような郵便は受け取っていない」などと主張されることを予防することができ、また、万が一裁判になった場合などにも内容証明郵便の控えを証拠として提出できます。
トラブルになっている場合やトラブルに発展しそうな場合、必ず「送ったこと」を明らかにしなければならない場合などには、内容証明郵便を利用しましょう。
2 内容証明郵便を利用すべき状況
以下のような状況であれば、内容証明郵便を利用するようおすすめします。
- 不倫などの慰謝料請求をする
- 交通事故などの損害賠償請求をする(相手が保険に入っていない場合など)
- 遺留分侵害額請求をする
- 時効援用通知を送る
- 相手に警告文を送る(ストーカー被害を受けている場合、迷惑行為をされている場合など)
3 内容証明郵便の特徴
内容証明郵便には、以下のような特徴があります。
- 書留で手渡し式になる
- 郵便局によって「内容証明」という判が押される
- 文書自体にも郵便局によって証明印が押される
- 形式や文字数が決まっている
4 内容証明郵便の書き方
次に内容証明郵便の書き方をご説明します。
(1)用紙や筆記具、パソコン使用について
用紙や筆記具、パソコン使用については特にルールはなく、どのようなものを使って作成しても問題ありません。ただし文書が2枚以上になる場合、綴じ目に契印をする必要があります。
(2)文字数について
郵便局から差し出す場合の内容証明郵便の場合、文字数には以下のようなルールがあります。
縦書きの場合
1行20字以内・1枚26行以内
横書きの場合
1行20字以内、1枚26行以内
1行13字以内・1枚40行以内
1行26字以内・1枚20行以内
(3)使用できる文字について
内容証明郵便で使える文字は、ひらがな、カタカナ、漢字と数字です。英字は固有名詞の場合にのみ使えます。
かっこや句読点などの記号も使用可能です。
かっこは、「」、()などの1セットを1文字としてカウントします。
(4)訂正に関するルール
内容証明郵便を訂正する場合には、間違えた部分を二重線で消して吹き出しを入れて加筆し、欄外に「○字削除、○字加入」などと記載する必要があります。その上で訂正部分に差出人の印鑑を押します。
5 文書に記載する事項
内容証明郵便には以下のような事項を記載しましょう。
(1)差出人と受取人の氏名、名称、住所、所在地
まずは、差出人と受取人の氏名や名称、住所や所在地を書かなければなりません。
文書の冒頭か末尾の部分に書き入れましょう。
(2)捺印や契印、訂正印
差出人名の横への捺印は、法律上の義務ではありません。
ただし間違いなく本人が作成したと証明するため、捺印するのが一般的です。
契印や訂正をする場合には捺印したのと同じ印鑑を使いましょう。
(3)日付
内容証明郵便を作成した日付も入れましょう。
(4)タイトル
タイトルの記載は法律上の義務ではありませんが、タイトルがある方が文書の趣旨が伝わりやすくなります。
「請求書」や「通知書」などのタイトルをつけましょう。
6 内容証明郵便の出し方
内容証明郵便は、取り扱いのある郵便局から発送しなければなりません。
どこの郵便局でも扱っているわけではないので、注意しましょう。
郵便局へ内容証明郵便を持参する際には、以下のようなものを持っていきましょう。
- 内容証明郵便の文書(同じものを3通)
- 封筒
- 差出人の印鑑
- 郵便料金
(1)配達証明をつける
内容証明郵便を送る場合、配達証明をつけるようおすすめします。
配達証明とは、相手に送達された日を郵便局が証明してくれるサービスです。
配達証明をつけておけば、相手が「受け取っていない」とはいえなくなります。
単に内容証明郵便を出しただけでは「発送したこと」までしか証明できません。
相手に確実に配達されたという事実を証明するためには、配達証明が必要です。
(2)電子内容証明郵便の場合
電子内容証明郵便というサービスもあります。
これは、内容証明郵便のインターネット版です。
24時間いつでもどこからでも送れるというメリットがあります。
郵便局に行く暇がない方などは、電子内容証明郵便を利用すると良いでしょう。
内容証明郵便の文案などは、弁護士に確認しておくと安心です。
京都の益川総合法律事務所では内容証明郵便のレビューや作成、発送業務、相手方との交渉まで幅広く取り扱っています。
内容証明郵便について悩まれたときには、お気軽にご相談ください。
弁護士の交渉により、交通事故の損害賠償額を約25万円増額することに成功した事案【解決事例】
・キーワード
交通事故、人身、示談交渉
・ご相談内容
ご依頼者は、自動車で右折のため道路上で停車中、後方から進行してきた相手方から追突され、頸部捻挫等の怪我をしてしまいました。相手方保険会社との交渉をご自身でされてきたのですが、弁護士に任せたいということで、当事務所にご依頼されました。
・当事務所の対応及び結果
症状固定後、相手方保険会社から、通院慰謝料について、当方の希望よりも低い金額での提案がなされました。この点については、本件事故によって、後遺障害等級は認定されていないものの、ご本人の身体には影響が残り続けていること、訴訟となった場合のリスクや法的見通し等の観点から粘り強く交渉を行いました。その結果、当初の提示金額より約25万円増額した賠償額を引き出すことに成功しました。
・コメント
弁護士の交渉により、損害賠償額を約25万円増額することに成功した事案です。
また、ご依頼者からは、事件に関連する様々な質問についても丁寧に対応してくれたとのことで、損害賠償額の増額とともに、大変喜んで頂くことができました。
相手方保険会社との交渉が負担である場合や、事件に関連する疑問点について法的なアドバイスを受けたいという方は、お気軽にご相談頂ければと思います。
※事件の内容については、特定できない程度に抽象化しています
労働訴訟の対応について弁護士が解説
残業代請求や解雇トラブルなど、労働問題が起こった場合には「労働訴訟」を利用すると解決につながりやすくなります。
労働訴訟とは、労働者と使用者間の労働トラブルを解決するための裁判です。
訴訟なので時間や労力はかかりますが、最終的にトラブルを解決できるメリットがあります。
この記事では、労働トラブルを解決するための労働訴訟について、京都の弁護士が解説します。
労働トラブルの渦中にある企業や個人の方は、ぜひ参考にしてみてください。
1 労働訴訟の概要
労働訴訟は、労働者と使用者間の労働トラブルを解決するための訴訟です。
(1)労働訴訟で取り扱えるトラブルの内容
労働訴訟で対象となるトラブルの例を挙げると、以下のようなものがあります。
- 残業代請求
- 未払い退職金や賞与の請求
- 解雇トラブル
- 雇止めのトラブル
- 退職強要や退職勧奨のトラブル
- 労災に関するトラブル
- 安全配慮義務違反に関するトラブル
- セクハラやパワハラで企業が適切な措置をとらなかった場合のトラブル(職場環境配慮義務違反)
- 労働条件の不利益変更のトラブル
- セクハラやパワハラの加害者(同僚や上司など)に対する請求
労働審判の場合、セクハラやパワハラのトラブルのうち「被害者が加害者(同僚や上司など)のみへ損害賠償請求する」といった「労働者同士のトラブル」については利用できません。
一方、労働訴訟ではそういった制限はないので、同僚や個人などの雇用者以外の個人相手の損害賠償請求も可能です。
(2)書面によって審理が進められる
労働訴訟は、調停や労働審判と違い、基本的には書面によって審理が進められます。
原告と被告は、自分の主張を書面にまとめて証拠を提出しなければなりません。
証拠に基づかない事実や主張は認められないことが多く、十分な証拠を揃えて手続きを進める必要があります。
(3)和解するケースもある
労働訴訟では、判決によって結論が出されるのが原則的な終結方法です。
しかし、すべてのケースで判決となるわけではありません。
当事者間で和解をして事件が終了するという事案もよくあります。
和解の場合、話し合いによって柔軟に解決できますし、早期にトラブルを終わらせられるというメリットもあります。
2 労働訴訟の流れ
次に、労働訴訟の流れをみてみましょう。
(1)訴訟提起
まずは、原告(多くのケースでは労働者側)から訴訟が提起されます。
原告は、訴状と証拠を揃えて裁判所へ提出しなければなりません。
申立て内容に不備がなければ、裁判所で受け付けられて担当部署が決まります。
(2)被告への呼出状と答弁書催告状の送付
訴状が受け付けられると、被告(原告が労働者側の場合は使用者側)へと第1回期日の呼出状と答弁書催告状が送付されます。
このとき、原告が提出した訴状や証拠書類も一緒に送られてきます。
被告側は、定められた期限までに答弁書を提出しなければなりません。
(3)答弁書の提出
被告側から答弁書が提出されます。
答弁書には、被告側の意見や原告への反論などが記載されます。
裁判所や原告は、第1回期日までに答弁書の内容を検討することとなります。
(4)第1回期日
第1回期日では、訴状や答弁書に書かれた内容を確認し、今後の進行についての話があります。
多くの場合には、次回の第2回期日以降、争点と証拠の整理を行うための弁論準備手続きに付されます。
(5)第2回期日以降
第2回目以降の期日では、弁論準備手続の中で争点と証拠の整理が行われます。
当事者は、それぞれ準備書面を出し合って、自分の意見を法的にまとめて主張しなければなりません。また、適切な時期に証拠を提出する必要があります。
(6)尋問
争点や証拠の整理が終わったら、当事者や証人の尋問が行われます。
尋問では双方の代理人である弁護士や裁判官から順番に尋問が行われます。
(7)判決
尋問が終わって和解も難しければ、裁判所が判決を下します。
(8)控訴
判決の内容に不服がある当事者は控訴(異議申立て)ができます。
原告・被告のどちらからも控訴されなかった場合には判決が確定します。
3 労働訴訟を提起されたときの対処方法
企業側が労働者側から労働訴訟を提起された場合には、迅速に答弁書を準備しなければなりません。
無視すると、労働者側に有利な判決が出てしまうリスクが高まります。
また、答弁書は法律的に意味のある主張をまとめたものでなければなりません。
労働訴訟は話し合いの手続きではないので、基本的にすべての主張を書面にまとめなければなりません。
適切な主張ができないと、敗訴してしまって高額な支払いを命じる判決が出てしまう可能性もあります。
労働訴訟に対応するには、法律や手続きに精通した弁護士によるサポートが必要です。
4 労働訴訟はお任せください
京都の益川総合法律事務所では、企業側の労働トラブルサポートに力を入れて取り組んでいます。
これまで多くの労働審判や労働訴訟を取り扱い、京都の企業様を支えて参りました。
弁護士に労働訴訟を任せれば、企業内で対応する場合と比較して、普段の業務に対する支障も最低限に抑えられます。
労働者側から突然労働訴訟を提起されてお困りの場合には、お早めに弁護士までご相談ください。
民事調停手続きについて
裁判所で紛争を解決する方法は、訴訟だけではありません。
民事調停によって解決できるケースも多数あります。
民事調停を利用すると、調停委員が間に入って手続きを進めてくれるので、争っている当事者同士が直接やり取りしなくて済むメリットがあります。
この記事では、民事調停手続きの概要や流れ、メリット・デメリットなどについて京都の弁護士が解説します。
争いごとに巻き込まれて悩んでいる方、訴訟は避けたいという方などは、是非参考にしてみてください。
1 民事調停とは
民事調停とは、裁判所が当事者の間に入って話し合いを進め、合意によってトラブルを解決するための手続きです。
もめごとが発生したとき、自分たちだけで話し合っても解決できないケースが少なくありません。
そんなとき、民事調停を利用すれば裁判官と調停委員が間に入って話し合いを仲介してくれるので、合意が成立しやすくなります。
民事調停において当事者の間に入る組織を「調停委員会」といいます。
調停委員会は、調停委員と裁判官から成り立っています。
民間でもめごとが発生したときには、民事調停を申し立てると解決につながるケースがよくあるので、状況に応じて利用するとよいでしょう。
2 民事調停で取り扱われる主なトラブル
民事調停は、民事に関する紛争を取り扱います。
民事調停で取り扱われることの多いのは、以下のようなトラブルです。
- 貸金や立替金などの金銭トラブル
- 給料や報酬などが不払いになっている場合のトラブル
- 家賃や地代の不払い問題、賃料改定のトラブル
- 敷金や保証金の返還などのトラブル
- 土地や建物の登記に関するトラブル
- クレジットやローンのトラブル
- 売買代金が不払いなっているなどのトラブル
- 請負代金や修理代金が不払いになっているなどのトラブル
- 建物や部屋の明渡しに関するトラブル
- 交通事故の損害賠償に関するトラブル
- 近隣トラブル
上記以外でも、私人同士の法律トラブルであれば、多くは民事調停で取り扱ってもらえます。
ただし、離婚や養育費、婚姻費用、相続などの家事に関するトラブルは家庭裁判所の家事調停で取り扱われます。
3 民事調停の申立方法
民事調停を申し立てる際には、「相手の所在地を管轄する簡易裁判所」へ申立をします。
相手が遠方の場合、裁判所も遠くなってしまう可能性があるので注意しましょう。
調停を申し立てる際には、申立書を用意して提出しなければなりません。
申立書の書式はこちらの裁判所のサイトにまとまっているので、参照して作成するとよいでしょう。
https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_minzityoutei/index.html
弁護士に申立書の作成や調停の代理を任せることも可能です。
民事調停にかかる費用
民事調停には費用がかかります。
申立の際に収入印紙を納めなければなりませんし、郵便切手も必要です。
ただし、民事調停の印紙代は訴訟より低額です。
郵便切手代も訴訟より低いケースが多いでしょう。
民事調停は訴訟よりコストが低くなるメリットがあるといえます。
4 民事調停の流れ
民事調停の流れを示します。
(1)申立て
まずは、申立人が調停を申し立てるところから始まります。
相手方の住所地を管轄する簡易裁判所へ、調停申立書と印紙、郵券を提出しましょう。
(2)第1回期日
申立を行うと、調停期日が決められ、調停の申立人と相手方が裁判所に呼び出されます。
調停期日においては、調停委員会が双方の言い分を聴いて話し合いが進められ、当事者双方の合意によってトラブルを解決することを目指します。
また、調停の手続きは、法廷ではなく、裁判所内の調停室において行われ、公開されることはありません。
(3)第2回目以降の期日
1回では解決できない場合、2回目以降の期日を入れて話し合いを続行します。
調停の期日は1か月に1回程度の頻度で開かれます。
調停は平日の日中に行われるので、仕事をしている方の場合には休んで出席しなければなりません。
(4)調停成立
合意ができれば、調停が成立します。
合意した内容をまとめた調停調書ができあがり、当事者双方へと交付されます。
調停調書は判決と同じ効力を持つため、相手が約束を守らないときには強制執行を申し立てることができます。
5 民事調停のメリット
- 話し合いにより柔軟な解決ができる
- 調停案を出してもらえるケースもある
- 調停調書に判決と同じ効力がある
- 相手との力の差、立場の違いがあっても妥当な解決を目指しやすい
- 訴訟より手数料が安い
- 調停は非公開であるので、プライバシーが守られる
6 民事調停のデメリット
- 合意ができないと不成立になってしまう
- 本人が対応する場合、平日の日中に裁判所へ通わねばならない
- 解決までに時間がかかる場合がある
- 調停委員がどちらか一方に肩入れしてくれるわけではない(中立的な立場)
7 弁護士に依頼すると解決できるケースも
民事調停には、デメリットや限界もあります。
当事者同士が合意できなければ成立しませんし、時間もかかってしまうこともあります。
平日の日中に裁判所へ行かねばならないのも負担になるでしょう。
弁護士に依頼すれば、当事者が自分たちで話し合う必要はありません。
弁護士が話を進めるので、平日の昼間に仕事を休むことが難しい場合にも、対応を任せることができます。
また、弁護士に依頼すれば、最適と考えられる解決方法について、ともに考えることができます。
お悩みごとは、お気軽に京都の益川総合法律事務所までご相談ください。
成年年齢の引き下げについて
2022年4月、民法が改正されて成年年齢が引き下げられました。
これによって、それまでは1人で契約できなかった18歳や19歳の方が1人で契約できるようになるなど、さまざまな変化がもたらされます。
もっとも、飲酒や喫煙、公営ギャンブルの利用などこれまでと同様に、20歳にならないとできないこともあります。
この記事では、成年年齢が引き下げられたことによって変わることと変わらないことを京都の弁護士がお伝えします。
1 成年年齢引き下げとは
成年年齢の引き下げとは、民法が改正され、20歳とされてきた成年になる年齢が18歳へと引き下げられたことです。
改正民法は、2022年4月1日に施行されており、すでに成年年齢引き下げの規定が有効になっています。
民法第4条
年齢18歳をもって、成年とする
成年年齢が18歳に引き下げられたことにより、これまで未成年とされていた18歳や19歳の人の取り扱いが変わります。
以下では18歳、19歳の人の法律上の取り扱いについて、変わることと変わらないことに分けてそれぞれ見ていきましょう。
2 18歳、19歳が1人でできるようになること
改正民法施行後、18歳や19歳の人が1人でできるようになるのは、以下のような事項です。
(1)親の同意がなくても1人で契約できる
親の同意がなくても、1人で有効な契約ができるようになります。
(2)性別の取扱いの変更審判
性同一性障害をもつ方が性別の取り扱いを変更してもらえるように申し立てる「性別の取り扱いの変更審判」も18歳、19歳の人が単独で申し立てられるようになりました。
(3)国籍の選択
これまで、重国籍の方が自分の国籍を選べる時期は、重国籍になった時点で20歳未満の方は22歳になるまで、20歳以上の方は2年以内に国籍を選択することとされていました。
国籍選択の年齢も2歳引き下げられています。
(4)期限が10年間パスポートの取得
パスポートは5年と10年の有効期間を選択することができますが、未成年者は5年間有効なパスポートしか取得できません。
18歳、19歳の方は、10年間有効なパスポートを取得できるようになりました。
(5)国家資格を取る
司法書士や公認会計士、薬剤師などの国家資格も取得できるようになりました。
3 20歳にならないとできないこと
以下のようなことは、改正法施行後も20歳にならないとできません。
(1)飲酒、喫煙
飲酒や喫煙については、これまでと同様に20歳にならないと許されません。
(2)公営ギャンブル
競馬や競輪、競艇やオートレースなどの公営ギャンブルも、20歳にならないと利用できません。
(3)養親になる
養子縁組をして養親になれる年齢も20歳のまま維持されています。
4 結婚について
民法改正のタイミングに合わせて、結婚できる年齢が変更されました。
これまで、女性は16歳で結婚できることになっていましたが、改正法の施行後は男女ともに18歳にならないと結婚できないことになっています。
5 少年法との関係
成年年齢引き下げとともに問題になったのは、少年法との関係です。
少年法は20歳未満の人に成年と同じ刑事手続を適用せず、少年(従来の未成年)を保護してきました。
成年年齢が引き下げられると、18歳や19歳の人については20歳以上の大人と同じ刑事手続で処断されてしまうのかが議論されてきたのです。
結論的に、18歳や19歳の人でも少年法の適用を受け、これまでとおり家庭裁判所での審判によって処分を決められることになりました。
つまり、原則として、18歳や19歳であっても少年法の適用を受けるということです。
しかし、18歳、19歳の人については「特定少年」とされて逆送事件になる対象犯罪が広められています。
また、特定少年が正式に起訴されると、実名報道が認められるようになりました(17歳以下の少年の場合には逆送されて起訴されても実名報道されません)。
このように、少年法との関係でいうと、18歳、19歳の人については保護が弱まったといえるでしょう。
6 養育費との関係
次に問題になったのが、養育費との関係です。
従来、養育費は「子どもが未成年の期間」に払われるのが原則とされてきました。つまり子どもが20歳になるまでは原則として養育費を請求できたのです。
ところが、成年年齢が引き下げられると、養育費を請求できるのが18歳になる月までになってしまう可能性があります。
この点については従来とおり、改正法が施行されても子どもが20歳になるまでは養育費が払われるべき、との考え方が大勢です。
当事者同士で決める場合はもちろん、裁判所で養育費を決める場合にも基本的に子どもが20歳になるまでは養育費を請求できるものと考えて良いでしょう。
7 相続税との関係
これまで20歳になるまで適用できた未成年者控除は、18歳になるまでしか適用できなくなります。
一方で、相続時精算課税制度については18歳から利用できるように変更されました。
成年年齢引き下げによって18歳、19歳の人が1人でできることが増えましたが、その分責任も重くなり、注意深く行動することが必要となるでしょう。
成年年齢引き下げに関連して、ご不明点があったり、お困りになったりした場合には、お気軽に京都の益川総合法律事務所までご相談ください。
養育費が増減額される場合を弁護士が解説
一度養育費の金額を取り決めたとしても、さまざまな事情によって金額が変わる可能性があります。
たとえば、支払義務者の収入が上がると養育費は上がりますし、支払義務者の収入が下がると養育費の金額は下がります。
この記事では、養育費が増額されるケースと減額されるケースについて、京都の弁護士が解説します。養育費の金額を変更したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
1 養育費の金額は決め直しができる
離婚時などに養育費の金額を定めても、ずっとその金額にしなければならないというわけではありません。
さまざまな状況の変化により、適切な養育費の金額が変動する可能性があるからです。
養育費は、子どもが20歳になるまで払われるのが一般的ですが、その間であれば親同士が話し合っていつでも決め直すことができます。
「養育費の金額は固定ではない」という点を、まずは押さえておきましょう。
2 養育費が増額される場合
では、どういったケースで養育費の金額が増額・減額されるのでしょうか?
以下では、まず、養育費が増額されるケースをみてみましょう。
(1)支払義務者の収入が上がった
養育費の支払義務者の収入が上がった場合です。
養育費の金額は、支払義務者と受け取る側の収入のバランスによって決まります。
支払義務者の収入が高ければ高いほど養育費の金額は上がり、低くなると養育費の金額も下がります。
そのため、いったんは養育費の金額を取り決めても、その後に支払義務者の収入が上がると養育費の金額も上がる可能性があります。
たとえば、算定表によると、10歳の子どもが1人いる場合、義務者の父親の年収が300万円(給与所得)、権利者の母親の年収が100万円(給与所得)なら養育費の金額は月額2万円から4万円程度が妥当とされます。
このケースで、父親の年収が500万円に上がると、養育費の金額は月額4万円から6万円程度に増額されます。
(2)子どもが15歳以上になった
子どもが15歳以上になった場合にも、養育費の金額が増額される可能性があります。
子どもの年齢が上がると、学費や食費など、さまざまなお金がかかるようになるからです。
たとえば、義務者の父親の年収が500万円(給与所得)で権利者の母親の年収が100万円(給与所得)の場合、子どもが1人で年齢が14歳以下なら、養育費の金額は月額4万円から6万円程度です。
この場合、子どもが15歳以上になると、養育費の金額は月額6万円から8万円程度に上がります。
(3)受け取る側の収入が下がった
養育費の金額は、受け取る側の収入によっても変わってきます。
受け取る側の収入が低いほど、養育費の金額は上がる仕組みになっているからです。
離婚後、受け取る側の収入が低下すると、養育費が増額される可能性があります。
たとえば、10歳の子どもが1人いて、義務者の父親の収入が400万円(給与所得)、権利者の母親の収入が200万円(給与所得)だったとしましょう。この場合、算定表によると、養育費の金額は月額2万円から4万円です。
ところが、母親の年収が100万円に下がると養育費の金額は月額4万円から6万円に上がります。
3 養育費が減額される場合
養育費の金額は減額されるケースもあります。どういった場合に減額されるかについて、理解しておきましょう。
(1)支払義務者の収入が減った
支払義務者の収入が大幅に減った場合です。
支払義務者の収入が下がると、支払える養育費の金額が下がるので、適切とされる金額も減ります。
たとえば、5歳の子どもが1人いて、義務者の父親の年収が600万円(給与所得)、権利者の母親の年収が100万円(給与所得)の場合、養育費の金額は月額6万円から8万円程度が適切とされます。
このケースで、父親の年収が300万円に下がった場合、適切な養育費の金額は2万円から4万円程度に減額される可能性があります。
(2)受け取る側の収入が大幅に増えた
養育費を受け取る側の収入が大幅に増えた場合です。
この場合、父母の収入のバランスが変わるので養育費の金額に影響が及びます。
たとえば、3歳の子どもが1人いて、義務者の父親の年収が500万円(給与所得)、権利者の母親の年収が100万円(給与所得)だった場合、養育費の金額は月額4万円から6万円程度です。
母親の年収が400万円に上がると養育費の金額が月額2万円から4万円程度に減額される可能性があります。
(3)支払義務者が再婚して扶養義務者が増えた
養育費の支払義務者が再婚して扶養義務者が増えると、養育費の金額が下がる可能性があります。
再婚して子どもが誕生するなどして、扶養義務者が増えた場合などが想定されます。
(4)受け取る側が再婚して、再婚相手と子どもが養子縁組した
養育費を受け取る側が再婚して、再婚相手と子どもが養子縁組した場合には、再婚相手が子どもの第一次的な扶養義務者となって、支払義務者の扶養義務が二次的なものとなるために、養育費の減額の可能性があります。
4 養育費を増減額する方法
養育費を増額・減額するには、まずは当事者間で話し合いましょう。
増減額を希望する側が相手に連絡を入れて、養育費の金額を決め直すことを提案します。
合意ができた場合には、新しい条件をまとめた合意書を作成すべきです。
話し合いでの解決が難しい場合には、家庭裁判所で調停を利用しましょう。
増額を求めるなら養育費増額調停、減額を求めるなら養育費減額調停を申し立てます。
調停でも合意できない場合、審判によって裁判官が妥当な養育費の金額を定めてくれます。
養育費の増減額を巡っては、当事者の意見が合わずトラブルになるケースが少なくありません。変更後の妥当な養育費の金額がわからない方も多いでしょう。
養育費の関係でわからないことがあれば、お気軽に弁護士までご相談ください。
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