養育費が増減額される場合を弁護士が解説

一度養育費の金額を取り決めたとしても、さまざまな事情によって金額が変わる可能性があります。

たとえば、支払義務者の収入が上がると養育費は上がりますし、支払義務者の収入が下がると養育費の金額は下がります。

この記事では、養育費が増額されるケースと減額されるケースについて、京都の弁護士が解説します。養育費の金額を変更したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

1 養育費の金額は決め直しができる

離婚時などに養育費の金額を定めても、ずっとその金額にしなければならないというわけではありません。

さまざまな状況の変化により、適切な養育費の金額が変動する可能性があるからです。

養育費は、子どもが20歳になるまで払われるのが一般的ですが、その間であれば親同士が話し合っていつでも決め直すことができます。

「養育費の金額は固定ではない」という点を、まずは押さえておきましょう。

2 養育費が増額される場合

では、どういったケースで養育費の金額が増額・減額されるのでしょうか?

以下では、まず、養育費が増額されるケースをみてみましょう。

(1)支払義務者の収入が上がった

養育費の支払義務者の収入が上がった場合です。

養育費の金額は、支払義務者と受け取る側の収入のバランスによって決まります。

支払義務者の収入が高ければ高いほど養育費の金額は上がり、低くなると養育費の金額も下がります。

そのため、いったんは養育費の金額を取り決めても、その後に支払義務者の収入が上がると養育費の金額も上がる可能性があります。

たとえば、算定表によると、10歳の子どもが1人いる場合、義務者の父親の年収が300万円(給与所得)、権利者の母親の年収が100万円(給与所得)なら養育費の金額は月額2万円から4万円程度が妥当とされます。

このケースで、父親の年収が500万円に上がると、養育費の金額は月額4万円から6万円程度に増額されます。

(2)子どもが15歳以上になった

子どもが15歳以上になった場合にも、養育費の金額が増額される可能性があります。

子どもの年齢が上がると、学費や食費など、さまざまなお金がかかるようになるからです。

たとえば、義務者の父親の年収が500万円(給与所得)で権利者の母親の年収が100万円(給与所得)の場合、子どもが1人で年齢が14歳以下なら、養育費の金額は月額4万円から6万円程度です。

この場合、子どもが15歳以上になると、養育費の金額は月額6万円から8万円程度に上がります。

(3)受け取る側の収入が下がった

養育費の金額は、受け取る側の収入によっても変わってきます。

受け取る側の収入が低いほど、養育費の金額は上がる仕組みになっているからです。

離婚後、受け取る側の収入が低下すると、養育費が増額される可能性があります。

たとえば、10歳の子どもが1人いて、義務者の父親の収入が400万円(給与所得)、権利者の母親の収入が200万円(給与所得)だったとしましょう。この場合、算定表によると、養育費の金額は月額2万円から4万円です。

ところが、母親の年収が100万円に下がると養育費の金額は月額4万円から6万円に上がります。

3 養育費が減額される場合

養育費の金額は減額されるケースもあります。どういった場合に減額されるかについて、理解しておきましょう。

(1)支払義務者の収入が減った

支払義務者の収入が大幅に減った場合です。

支払義務者の収入が下がると、支払える養育費の金額が下がるので、適切とされる金額も減ります。

たとえば、5歳の子どもが1人いて、義務者の父親の年収が600万円(給与所得)、権利者の母親の年収が100万円(給与所得)の場合、養育費の金額は月額6万円から8万円程度が適切とされます。

このケースで、父親の年収が300万円に下がった場合、適切な養育費の金額は2万円から4万円程度に減額される可能性があります。

(2)受け取る側の収入が大幅に増えた

養育費を受け取る側の収入が大幅に増えた場合です。

この場合、父母の収入のバランスが変わるので養育費の金額に影響が及びます。

たとえば、3歳の子どもが1人いて、義務者の父親の年収が500万円(給与所得)、権利者の母親の年収が100万円(給与所得)だった場合、養育費の金額は月額4万円から6万円程度です。

母親の年収が400万円に上がると養育費の金額が月額2万円から4万円程度に減額される可能性があります。

(3)支払義務者が再婚して扶養義務者が増えた

養育費の支払義務者が再婚して扶養義務者が増えると、養育費の金額が下がる可能性があります。

再婚して子どもが誕生するなどして、扶養義務者が増えた場合などが想定されます。

(4)受け取る側が再婚して、再婚相手と子どもが養子縁組した

養育費を受け取る側が再婚して、再婚相手と子どもが養子縁組した場合には、再婚相手が子どもの第一次的な扶養義務者となって、支払義務者の扶養義務が二次的なものとなるために、養育費の減額の可能性があります。

4 養育費を増減額する方法

養育費を増額・減額するには、まずは当事者間で話し合いましょう。

増減額を希望する側が相手に連絡を入れて、養育費の金額を決め直すことを提案します。

合意ができた場合には、新しい条件をまとめた合意書を作成すべきです。

話し合いでの解決が難しい場合には、家庭裁判所で調停を利用しましょう。

増額を求めるなら養育費増額調停、減額を求めるなら養育費減額調停を申し立てます。

調停でも合意できない場合、審判によって裁判官が妥当な養育費の金額を定めてくれます。

養育費の増減額を巡っては、当事者の意見が合わずトラブルになるケースが少なくありません。変更後の妥当な養育費の金額がわからない方も多いでしょう。

養育費の関係でわからないことがあれば、お気軽に弁護士までご相談ください。

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