債権回収をお考えの方へ

会社運営にあたり、売掛金などの債権を回収することは、極めて重要な事柄です。

そこで、今回は、債権回収をお考えの方に、知っておいて頂きたい事項をご説明いたします。

1 債権回収とは

債権回収は弁護士に相談

債権回収とは、会社の売掛金などの債権を回収することをいいます。

会社は、自己の商品やサービスの対価として、金銭を取得することによって運営を行っており、このような対価を適切に回収することは、会社運営にとって不可欠の事項といえます。

そのため、債権回収は、多くの会社にとって、重要な事項といえます。

2 債権回収の流れ(弁護士にご依頼いただいた場合)

弁護士にご依頼いただいた場合の、債権回収の一般的な流れは、以下の通りです。

(1)内容証明を送付する

まずは、相手方に対して、弁護士名義で内容証明郵便を送付します。

内容証明とは、書留郵便の一種で、郵便局に、いつ、どのような内容の文書を誰から誰に対して差し出されたのかを証明してもらう制度になります。

この内容証明において、こちらがどのような権利を有しているかを説明した上で、相手方に対して、金銭の支払いを請求します。

この弁護士名義の内容証明郵便を送付することによって、相手方にプレッシャーを掛けることができます。

また、仮に裁判になった場合にも、弁護士名義で当該内容の書面を送付したことを裏付けることができます。

益川総合法律事務所

(2)相手方と交渉する

内容証明には、弁護士の連絡先も記載しますので、内容証明を送付すると、相手方から弁護士に対して連絡が来ることが多いです。

相手方から連絡がきた際には、弁護士と相手方が交渉することによって、債権の回収を目指すことになります。

相手方がすぐに支払うケースもありますし、すぐには金銭を用意できないとして支払の猶予を求めるケースもあります。

中には、相手方からそのような金銭を支払う必要はないと考えているとの反論がくるケースもありますし、相手方の対応はまちまちです。

弁護士としても、相手方の対応に応じて、会社と検討しながら、適切な債権回収を目指すことになります。

なお、内容証明を送付しても、無視をしてくることもありますが、そのような場合には、弁護士から相手方に電話連絡することによって、交渉の土台に載せることになります。

仮に、相手方が弁護士からの電話連絡も無視してくる場合には、以下のように裁判所を通じた手段を取ることを検討することになります。

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(3)少額訴訟や通常訴訟を検討する

■少額訴訟

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める際にのみ利用できる特別な訴訟手続をいいます。

少額訴訟は、簡易迅速な処理を実現するために設けられた制度であり、通常訴訟とは異なる迅速な手続で解決を図ることができます。

具体的には、少額訴訟においては、原則として、1回の期日で審理を終えて判決をすることになります。

ただし、相手方が少額訴訟に同意しなかった場合や、一方当事者が判決に対して異議申立をした場合には、通常訴訟に移行することになります。

■通常訴訟

通常訴訟とは、当事者双方が主張と証拠を出し合い、裁判所がその主張と証拠に基づいて最終的には判決を出す手続になります。

少額訴訟と異なり、通常訴訟の場合には、期日を複数回(5回から10回程度)重ねて、最終的な解決が導かれることとなります。

なお、通常訴訟においても、多くの場合には、当事者の話合いによって事件を解決する和解という形で終了します。

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(4)強制執行を行う

裁判所から勝訴判決が出ても、相手方が任意に支払わなければ、相手方の不動産や預金口座などを差し押さえるなどして債権回収を図る必要があります。

また、和解の場合にも、相手方が約束の金銭を支払わない場合には、同様に差押えなどを行うことによって、相手方の財産を差し押さえる必要があります。

この差押えなどの強制執行を行うに当たっては、裁判所に申立をすることになります。

3 弁護士と他士業との違い

弁護士は、行政書士や司法書士と異なり、あらゆる債権回収の案件について、相手方と交渉を行い、場合によっては裁判を行うことができます。

一方、行政書士や司法書士の権限は、かなり限定的ですので、債権回収を依頼するのはお勧めできません。

(1)行政書士の権限

行政書士は、書面の作成を代行する権限を有していますが、相手方と交渉したり、裁判をする権限は有していません。

なので、行政書士に内容証明の作成を依頼したとしても、交渉は自社で行う必要があります。

内容証明郵便を送付することによって、相手方にプレッシャーを与えることができるのは、金銭を支払わなければ、裁判をされてしまうとの前提があるためだと考えられます。

そのため、多くの場合には、行政書士に依頼したとしても、債権回収を図ることは難しいのではないでしょうか。

(2)司法書士

司法書士の主たる業務は、不動産登記や会社・法人に関する登記などの登記業務であると考えられています。

司法書士のうち、認定司法書士と呼ばれる人たちは、140万円以下の債権回収については会社の代理人になることができます。

もっとも、140万円以下の金額であっても、簡易裁判所における通常訴訟が控訴され、地方裁判所に移行した際には、代理人になることができません。

裁判実務を見ていると、簡易裁判所の和解の際に、認定司法書士が控訴された際に対応できないという理由により、相手方から解決金の金額を低めに設定されることもあります。

4 顧問弁護士制度の活用

上記の通り、債権回収を専門家に依頼するのであれば、全ての案件に対応できる弁護士にご依頼いただくのがよいと考えられます。

そして、債権回収の案件が定期的にある会社などにおいては、顧問弁護士制度を活用いただくのをお勧めいたします。

顧問弁護士制度とは、会社が月額顧問料を支払うことによって、会社のトラブルなどを弁護士に相談できる制度です。

顧問弁護士制度をご利用いただくことで、早い時点から、金銭を支払ってもらえない場合の措置を弁護士からお伝えすることでき、未払金が増えるのを防ぐことができます。

また、顧問弁護士制度においても、債権回収の交渉等を弁護士に依頼する場合には、顧問料とは別に費用が発生することとなりますが、多くの弁護士事務所では、顧問先の会社から依頼を受ける場合には、一定金額の減額をしています。

当事務所においても、1983年の創業以来、東証一部上場企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、多数の債権回収案件を解決してきました。

もし、債権回収をお考えであれば、お気軽に当事務所までご相談下さい。

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