コラム
契約書のリーガルチェックについて弁護士が解説
会社が事業を行うにあたって、契約を締結する場面は数多く出てきますが、契約書のリーガルチェックが重要であるということが言われます。
そこで、この記事では、契約書のリーガルチェックの意味、また、契約書のリーガルチェックを行うメリットについて、京都の弁護士が解説します。
契約書のリーガルチェックが気になっているという方は、参考にしてみてください。
1 契約書のリーガルチェックとは
契約書のリーガルチェックとは、契約書の内容を法的な観点から調査し、作成・確認することをいいます。
中小企業間の取引では、契約書のひな形を使っているけれども、そのひな形が取引の実態に合っていない等の問題点があることが多く、リーガルチェックを行うことで、問題点を克服することが重要となります。
2 契約書のリーガルチェックを行うメリット
契約書のリーガルチェックを行うメリットには、以下のようなものがあります。
(1)自社にとって不利益な条項がわかる
契約書のリーガルチェックの1番大きなメリットは、自社にとって不利益な条項がわかるということでしょう。
自社にとって不利益な条項がわかれば、その条項を削除してもらう、修正を行うという対策をとることができます。
また、仮に会社間の力関係上、条項の削除や修正ができない場合には、その不利益を許容したとしても、契約を締結するべきであるかという経営判断を行うことができます。
契約書のリーガルチェックができていなければ、上記のような対策等をとることはできず、会社にとっての大きなリスクとなってしまいます。
(2)取引の実態に合った契約書を作成できる
契約書のひな形を利用している場合、個々の取引の実態に合わない内容となってしまっているという契約書がよく見られます。
契約書の条項をひとつひとつ読み込んで、取引の実態に合致しているかについて検討することが必要です。
取引の実態に合わない契約書を利用した場合、契約当事者間において、契約内容についての認識に齟齬が生じてしまい、トラブルとなってしまうなどのデメリットがあります。
また、会社の希望に応じた内容に契約書の文言を修正することも有用ですので、ひな形をそのまま利用している会社の方は、注意してみてください。
(3)トラブルが発生した際に相談しやすい
弁護士に契約書のリーガルチェックを依頼する場合、自社の顧問弁護士に依頼することが多くなります。
まだ顧問弁護士がいないという会社の方にとっては、リーガルチェックが顧問弁護士を見つけるきっかけにもなります。
また、顧問弁護士がいる会社の方であっても、セカンド顧問弁護士(現在の顧問弁護士と別の2番目の顧問弁護士)を見つけるきっかけに活用するのもよいでしょう。
弁護士にリーガルチェックを依頼した場合、弁護士が既に当該取引内容を把握しているため、トラブルの内容を的確に理解してもらいやすいといえます。
京都の益川総合法律事務所では、中小企業法務に力を入れて取り組んでおり、様々な業種の契約書のリーガルチェックについても取り扱っています。
弁護士による契約書のリーガルチェックを受けてみたいという会社の方は、お気軽にご相談ください。
顧問弁護士については、「顧問弁護士をお考えの方へ」というページで詳しく解説しています。
弁護士の交渉により、交通事故の損害賠償額において、兼業主婦の休業損害の請求が認められた事案【解決事例】
・キーワード
交通事故、人身、休業損害、兼業主婦、示談交渉
・ご相談内容
ご依頼者は、バイクで停車中、前方のトラックが後退してきたために衝突し、腰椎捻挫等の怪我をしてしまいました。相手方保険会社との交渉をご自身でされてきたのですが、弁護士に任せたいということで、当事務所にご依頼されました。
・当事務所の対応及び結果
相手方保険会社とは、主に兼業主婦の休業損害と通院慰謝料について争いになりましたが、兼業主婦の休業損害については、こちらの請求が満額認められました。また、通院慰謝料についても、弁護士基準(裁判基準)をベースとした損害賠償額が認められました。
結果、当初の提示金額より約60万円増額した賠償額を引き出すことに成功しました。
・コメント
弁護士の交渉により、兼業主婦の休業損害について、こちらの請求の満額が認められた事案です。
休業損害とは、事故による傷害のために、休業や不十分な就労を余儀なくされ、その治癒や症状固定までの間に得られるはずであった利益を得られなかったことによる損害のことをいいます。
家事従事者についても、事故による傷害のために家事に従事することができなかった期間について、休業損害を請求することができるとされていますが、本件のように、兼業主婦の方の場合には、相手方保険会社との間で金額等争いになるケースが多くあります。
ご依頼者からは、当初から、お怪我が家事についても支障となっているというお話を聞いていたため、本件ではその点についての請求も認められることとなり、非常に喜んで頂きました。
本件のように、弁護士が交渉を行うことにより、損害賠償額を増額することができる事案もありますので、お気軽にご相談頂ければと思います。
※事件の内容については、特定できない程度に抽象化しています
取引先が破産した場合の対応について弁護士が解説
取引先が破産したら、どのように対応すれば良いのでしょうか?
すでに破産手続きに入ってしまった場合には、強制執行などの手続きを行うことができなくなってしまいます。
その場合、まずは債権届を提出して配当を受けることが考えられますが、それ以外にもいくつかの債権の回収方法があります。
この記事では、取引先が破産した場合にどのような対応をとることができるのかについて、京都の弁護士が解説します。
連鎖倒産などの最悪の事態を回避するため、ぜひ参考にしてみてください。
1 倒産、破産の予兆
会社がいきなり倒産や破産するケースは少数です。一般的には何かしらの予兆があるものです。
倒産や破産の兆候が見えたとき、早期に回収のための方策をとっておけば、破産後よりも効果的な対応が可能となります。
以下では、倒産や破産する企業によくある特徴をみてみましょう。
(1)従業員が減る
会社の経営状況が悪化してくると、給料の支払い遅延などが生じて従業員が不満や不安を抱くケースがよくあります。
そうなると、従業員が退職するなどして動きが生じます。
会社側が人員整理のために従業員を整理解雇するケースもあります。
取引先の従業員の数が急に減ったり異動が激しくなったりすると、要注意の状態といえるでしょう。
(2)資産の売却
会社で保有している資産を売却し現金化している場合にも、会社資金が不足していることを推測させるので、注意する必要があるでしょう。
(3)支払い時期や方法の変更
これまでは順調に支払いができていたのに遅延が生じたり支払期日・方法の変更を申し入れられたりした場合にも、危険信号が点滅している可能性があります。
また、倒産しそうな企業は自社の支払いが遅れる一方で、取引先に対しては「支払期日を前倒ししてほしい」などと要求するケースもよくあります。
2 取引先が破産した場合の対処方法
実際に取引先が破産したら、以下のように対処しましょう。
(1)債権届を提出して破産手続きに参加する
会社が破産すると、各債権者には債権調査票が送られてきます。
後で配当金を受け取るため、債権の資料とともに債権届を破産管財人へ提出しましょう。
ただし、破産手続きによる配当金の金額は高額にならないのが一般的です。
多くの場合、数%程度にしかなりません。
その他の部分については、以下のような工夫によって回収する必要があります。
(2)相殺
取引先に対して反対債務がある場合、破産手続きに入った後であったとしても、相殺によって債権回収ができます。
(3)所有権留保にもとづく商品の引きあげ
相手方に対して商品を納入している場合でも、所有権留保がついていれば商品の合法な引きあげが可能となります。
ただし、所有権留保もなく、かつ、相手方の同意もなしの状況で商品を引き上げてしまうとトラブルになる可能性が高いため、法的な根拠なく商品を引きあげてはなりません。
(4)担保権の実行
売掛債権を担保するために、土地建物に抵当権を設定していた場合には、抵当権を実行して土地や建物を競売にかけられます。
(5)連帯保証人への請求
売掛債権に保証人や連帯保証人をつけている場合、保証人などへ請求して債権回収できる可能性があります。会社が破産しても保証人が破産していない限り、保証人への請求は可能です。
(6)貸倒れの処理
売掛債権が回収不能となった場合には、損金処理をして税額を減らせる可能性があります。
相手方が破産手続きに入った場合や債権放棄した場合などに損金処理をすることが考えられます。
税務署に証拠として提出するため、相手に債権放棄通知書を送る場合には内容証明郵便を利用するとよいでしょう。
3 取引先に破産されると強制執行ができなくなる
売掛債権について、公正証書で定めている場合には、相手方が支払わないときに公正証書の強制執行認諾条項にもとづいて強制執行ができます。
調停調書や判決書などの他の債務名義がある場合も同様です。
ただし、取引先が破産手続きに入ってしまうと、個別の強制執行はできなくなってしまいます。
強制執行によって債権回収したい場合には、破産の予兆を感じたとき、破産手続きに入られる前に、早めに手続きを実行しなければなりません。
4 倒産・破産されたときの損失を予防する方法
取引先が破産した場合の損失を防ぐには、以下のような方法が有効です。
(1)担保権の設定
まずは、抵当権や保証人などの担保権を設定しましょう。
こういった権利を設定しておくと、取引先が破産手続きに入った後であっても、権利を行使して債権回収ができます。
ただし、保証人などの人的担保の場合には、本人と一緒に破産してしまう可能性があります。
可能であれば、土地建物に抵当権をつけるなど物的担保を利用するようおすすめします。
(2)公正証書の作成
強制執行認諾条項を付けた公正証書を作成しておけば、相手方が破産する前であれば、速やかに強制執行ができます。
公正証書がない場合と比べ、スピーディーな債権回収が可能となります。
万が一に備えて公正証書を作成しておくと良いでしょう。
京都の益川総合法律事務所では、中小企業法務に力を入れて取り組んでいます。
債権回収でお困りごとがある際には、お気軽にご相談ください。
ご依頼者の声5
・ご回答者様
女性
・ご年齢
30代
・ご依頼内容
交通事故
・弁護士の説明はいかがでしたか。
■非常によい ▢よい ▢普通 ▢悪い ▢非常に悪い
・弁護士、事務員の対応はいかがでしたか。
■非常によい ▢よい ▢普通 ▢悪い ▢非常に悪い
・解決結果についてご納得頂けましたか。
■非常に納得 ▢納得 ▢どちらともいえない ▢納得できない ▢全く納得できない
・お困りの方に、益川総合法律事務所を紹介したいですか。
■紹介したい ▢どちらともいえない ▢紹介したくない
・担当弁護士、事務員に対するご意見やご感想を頂ければ幸いです。
事故の状況から、その後のケガや生活状況まで丁寧に聞き取って下さり、親身に相談に乗って頂き、大変心強かったです。
示談成立までの流れ等、その都度説明もして頂き、安心感がありました。こまめにメール等のやり取りもして下さり、こちらの質問への応対、必要書類についてもすぐ送付してもらえました。
全ての対応に好感を持ちました。ありがとうございました。
コメント
ご依頼者に対応や解決結果について大変ご満足頂けたことを、弁護士としてもとても嬉しく感じました。
ご相談者のなかには、弁護士と話をするのが初めてという方も多いので、話しやすい雰囲気をつくったうえで、丁寧に話をお聞きすることを心がけています。
また、依頼後の流れについても、できる限りご説明をして、不安な気持ちを解消できるように配慮しています。
ご依頼者とのやりとりについても、できる限りスピーディーに対応するようにしており、本件のご依頼者にも、その点について大変喜んで頂けました。
ご依頼者の声4
・ご回答者様
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・ご年齢
30代
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・担当弁護士、事務員に対するご意見やご感想を頂ければ幸いです。
とても親身に対応して下さりありがとうございました。
また何かあればよろしくお願い致します。
コメント
ご依頼者が交通事故の追突事故を起こしてしまい、ご依頼者自身が怪我をされているとの事件でした。受任前、相手方の任意保険会社は、追突事故なので、ご依頼者が全て悪く、治療費や慰謝料等は一切支払わないとのスタンスでした。
そこで、弁護士受任後、ご依頼者の病院や整骨院への通院が終わるのを待って、治療費や慰謝料等を自賠責保険会社へ請求し、最終的には治療費分に相当する費用は全額返ってきて、慰謝料に相当する金額もご依頼者の期待以上に取得できました。
なお、事故によって、相手方の車両が傷ついたので、その部分は訴訟となりましたが、訴訟においては、証拠に基づき当方の主張を的確に行うことで、結果的に相手方の請求額から一定程度減額した金額での和解が成立しました。
ご依頼者からは、結果及びご依頼者のお気持ちに寄り添って粘り強く丁寧に事件を進めたことについて、大変喜んで頂けました。
ご依頼者の声3
・ご回答者様
男性
・ご年齢
30代
・ご依頼内容
交通事故
・弁護士の説明はいかがでしたか。
■非常によい ▢よい ▢普通 ▢悪い ▢非常に悪い
・弁護士、事務員の対応はいかがでしたか。
■非常によい ▢よい ▢普通 ▢悪い ▢非常に悪い
・解決結果についてご納得頂けましたか。
■非常に納得 ▢納得 ▢どちらともいえない ▢納得できない ▢全く納得できない
・お困りの方に、益川総合法律事務所を紹介したいですか。
■紹介したい ▢どちらともいえない ▢紹介したくない
【コメント】
ご依頼者からは、弁護士が粘り強く交渉して、損害賠償額の増額という結果を得られたことについて、大変満足頂けた事案です。
本件のように、弁護士が交渉することにより、交通事故の損害賠償額の増額という結果を得られる場合もありますので、損害賠償額の増額を希望される方は、お気軽にご相談頂ければと思います。
セクハラ、パワハラの慰謝料の相場について
セクハラやパワハラが発生すると、被害者は加害者へどの程度の慰謝料を請求できるのでしょうか。慰謝料トラブルをスムーズに解決するため、慰謝料の相場を把握しておきましょう。
この記事では、セクハラやパワハラの慰謝料の相場について、京都の弁護士が解説します。
セクハラ、パワハラの被害に遭ってお困りの方は参考にしてみてください。
1 セクハラとは
セクハラとは、「セクシュアルハラスメント」の略で、簡単にいうと性的な嫌がらせです。
職場で他の人を不快にさせるような性的な言動をとると、セクハラに該当する可能性があります。
より正確にいうと「職場において行われ、労働者の意に反する性的な言動により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されることをいいます。
たとえば、労働者が性的な要求を拒んだために降格や解雇などの不利益を受ける場合や、職場仲間の性的な言動によって職場環境が悪化した場合などにセクハラが成立し得ます。
セクハラの加害者になるのは上司だけではありません。
同僚や後輩などからもセクハラ被害を受ける可能性があります。
2 セクハラで慰謝料請求できる相手
セクハラの被害に遭った場合には、加害者へ慰謝料を請求できるケースが多数です。
まずは、直接の加害者へ慰謝料請求できます。
また、加害者を雇用している会社へも慰謝料請求できるケースがあります。
理由は2つあり、1つには会社には加害者の使用者責任が発生するためです。
2つ目は、会社には労働者が働きやすい環境を用意すべき義務があり、それにもかかわらず漫然とセクハラを放置すると、職場環境配慮義務違反として責任が発生するためです。
3 セクハラの慰謝料相場
セクハラの慰謝料相場は、50~200万円程度です。
ただし、事案によって大きく異なり、ときには300万円を超える案件もあります。
以下で、どういった状況になるとセクハラの慰謝料が高額になるのか、みてみましょう。
セクハラの慰謝料が高額になりやすいケース
- 被害者がセクハラによって退職に追い込まれた
- 被害者がセクハラによってうつ病などの病気にかかった
- セクハラの態様が悪質(強姦した、強制わいせつ行為をしたなど)
- セクハラが長期間、何度も繰り返された
特に被害者に対して強姦や強制わいせつ行為が行われて刑事事件になる場合などには、数百万円という高額な慰謝料が発生するケースもあります。
4 パワハラとは
パワハラは、パワーハラスメントを省略した言葉です。
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものです。パワハラといえるには、①から③までのすべての要件を満たさねばなりません。
たとえば、相手に暴力を振るった場合、精神的に攻撃した場合、仲間はずれにした場合、過量な業務を強要した場合や反対に仕事を与えない場合、プライベートに無用に踏み込む場合などにパワハラが成立する可能性があります。
上司による部下へのパワハラが典型ですが、職場の優越的な関係を背景としてさえいれば、部下から上司へのパワハラや同僚同士のパワハラも成立します。
5 パワハラで慰謝料請求できる相手
パワハラで慰謝料請求できる相手には、直接の加害者だけではなく会社も含まれるケースが多くあります。
従業員の行為について使用者責任が発生する可能性がありますし、会社には職場環境配慮義務も課されるからです。
被害に遭っているのに会社がパワハラを漫然と放置した場合、会社への責任追及も検討しましょう。
6 パワハラの慰謝料相場
パワハラの慰謝料相場は、ケースによって大きく変わります。
また、どのようなパワハラが行われたかによっても慰謝料額は変わってきます。
一般的には30万円~200万円程度になる事案が多いでしょう。
たとえば、相手から殴られた場合や暴言をはかれた場合、名誉毀損された場合などです。
一方、被害者が自殺した場合には、2000万円以上もの高額な慰謝料が認められるケースも少なくありません。
パワハラの慰謝料が高額になりやすいケース
- 被害者が暴力を受けて後遺症が残った
- 執拗にパワハラが行わるなど、悪質であった
- パワハラが行われた期間が長い
- 被害者がうつ病などの精神疾患になって働けなくなった
- 被害者が自殺した
被害者がうつ病などの精神疾患にかかると、比較的慰謝料が高額になりやすい傾向があります。
7 セクハラやパワハラの慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット
セクハラやパワハラの慰謝料請求を行う場合、弁護士に依頼すると以下のようなメリットがあります。
- 相手(加害者や会社)が真摯に対応する可能性が高い
- 有利に交渉して高額な慰謝料を獲得しやすい
- 交渉の手間や時間を節約できる
- 相手と直接交渉しなくて良いのでストレスが軽減される
- 状況に応じて適切なアドバイスをもらえるので、間違った行動により後で不利になるリスクが低下する
セクハラやパワハラのトラブルでお困りの場合、弁護士がアドバイスやサポートを行います。まずはお気軽にご相談ください。
社員が逮捕されたとき、会社がとるべき対応とは
社員(従業員)が逮捕されると、会社としてはどのように対応すれば良いのでしょうか。
逮捕されたからといって、社員をすぐに解雇できるわけではありません。
また、逮捕後はしばらく出勤できなくなるので、休職に際しての取扱い方法なども押さえておきましょう。
この記事では、社員が逮捕された場合に会社がとるべき対応について、京都の弁護士が解説します。
いざというときに慌てないために、ぜひ頭に入れておいてください。
1 社員が逮捕されたときに会社がとるべき対応
ある日突然社員が逮捕されてしまったら、会社としては以下のような対応をしましょう。
(1)事件の内容を確認する
まずは、社員がどのような事件を起こして逮捕されたのか、事実関係を把握すべきです。
業務中に起こした事件かどうかも問題になります。
もし、業務中に事件を起こした場合、会社にも使用者責任が成立し、被害者から損害賠償請求される可能性があります。
(2)身柄拘束場所を確認
次に、社員が身柄拘束されている場所を確認しましょう。
一般的には、逮捕された場合には、どこかの警察の留置施設で身柄拘束されていることが多いです。
警察から連絡が来たときには警察に確認すると良いですし、そうでない場合には親族が知っているケースが多いので、聞いてみると良いでしょう。
(3)本人の認識を確認
逮捕されたからといって、被疑事実が真実とは限りません。
実際には犯罪行為をしていないケースもあります。従業員が逮捕されたら、本人から事情を聞きましょう。
また、逮捕勾留期間には出勤できなくなります。その間に有給休暇を消化する意向があるのかなども確認しなければなりません。
本人が身柄拘束されている留置場へ行き、面会して話を聞きましょう。
ただし、被疑者が逮捕されると、その後「勾留」に切り替わるまでの間は、たとえ家族でも接見(面会)できません。
逮捕後、72時間以内に勾留請求がされるか決定され、勾留に切り替わった時点で、ようやく接見できるようになります。
弁護人以外の場合、面会できるとしても、捜査官の立会つきで時間は10~20分程度です。あまり込み入った話はできないので注意しましょう。
2 社員が逮捕されている間の出勤や給料について
社員が逮捕されると、その社員はしばらく出勤できなくなってしまいます。
具体的には、逮捕から起訴されるまでの最大23日間、出社できません。
その間の給料に関する取り扱いが問題になります。
基本的に休職している間は、給料は出ません。
ただし、本人が有給の消化を希望するのであれば、会社としては受け入れると良いでしょう。
3 社員が逮捕されてもすぐには解雇できない
「社員が逮捕されたら、解雇できるのだろう」と考える方が多いのですが、法律上はそう簡単なものではありません。
以下で、社員が逮捕されても解雇できない理由や正しい対処方法をお伝えします。
(1)すぐに懲戒解雇できるわけではない
多くの企業では、懲戒解雇の理由として「犯罪行為を行ったとき」を挙げています。
そこで従業員が犯罪事実によって起訴され、有罪認定を受けると懲戒解雇できる可能性があります。
しかし、逮捕されただけの段階であれば、まだ犯罪行為をしたと確定的に判断することができません。
逮捕されただけで懲戒解雇すると、後に不起訴となった場合などに不都合が生じる可能性があります。
従業員が逮捕されても、すぐに懲戒解雇としないように注意しましょう。
(2)有罪判決を受けた場合は解雇できることもある
それでは、従業員に有罪判決が確定したら、解雇できるのでしょうか?
実際には、有罪判決が出ても必ず解雇できるとは限りません。
解雇するには、社員の行為が「著しく企業秩序を乱した」ことが必要とされます。
たとえば、犯罪事実が業務内容とまったく関係のない私的なものであれば、犯罪行為によって著しく企業秩序を乱したとまではいえず、解雇できない可能性があります。
一方、社員が会社のお金を横領したなど会社に被害を与えた場合には、懲戒解雇が相当となるでしょう。
4 社員の逮捕後に企業がとるべき対応
社員が逮捕された後は、以下のような対応をしましょう。
(1)社員に対する対処
まずは、本人への対応方法を検討しましょう。
たとえば、有罪判決を受けても解雇しない場合や、有罪判決が出なくても起訴猶予になって犯罪事実が明るみにでた場合などには、何らかの懲戒処分をすべきケースが多々あります。
会社が損害を被った場合には、従業員へ損害賠償請求をするかについて検討をする必要があるでしょう。
(2)再発予防策をとる
今後、従業員による不祥事が再発しないよう、予防措置をとるべきです。
特に、業務と関連して犯罪が行われた場合などには予防措置をとる必要性が高いといえるでしょう。
今回の犯罪の原因を分析し、同様の事件が起こらないように仕組み化しましょう。
たとえば、横領事案があった場合には、複数人で会社のお金を管理するようにしたりして、チェック機能を強化することなどが考えられます。
京都の益川総合法律事務所では中小企業法務に力を入れています。従業員による不祥事にお悩みの際にはお気軽にご相談ください。
弁護士の交渉により、交通事故の損害賠償額を約65万円増額することに成功した事案【解決事例】
・キーワード
交通事故、人身、示談交渉
・ご相談内容
ご依頼者は、バイクで道路を走行中、前を走っていた自動車の急な左折に巻き込まれ、右尺骨茎状突起骨折等の怪我をしてしまいました。相手方保険会社との交渉をご自身でされてきたのですが、弁護士に任せたいということで、当事務所にご依頼されました。
・当事務所の対応及び結果
相手方保険会社とは、主に通院慰謝料と過失割合について争いになりました。通院慰謝料については、弁護士基準(裁判基準)によるべきと主張し、過失割合については、本件事故の具体的な状況を指摘し、主張を行いました。
あわせて、訴訟となった場合のリスクや法的見通し等の観点から粘り強く交渉を行いました。その結果、当初の提示金額より約65万円増額した賠償額を引き出すことに成功しました。
・コメント
弁護士の交渉により、損害賠償額を約65万円増額することに成功した事案です。
また、ご依頼者からは、治療費の打ち切りについて延長を求める交渉に成功した点についても、喜んで頂きました。
本件のように、弁護士が交渉を行うことにより、損害賠償額を増額することができる事案もありますので、お気軽にご相談頂ければと思います。
※事件の内容については、特定できない程度に抽象化しています
通院慰謝料については、こちらのページで詳しく解説しています。
離婚成立後に財産分与の請求をする方法について
離婚成立時に財産分与について合意しなかった場合、離婚成立後であっても財産分与を請求できます。ただし、離婚成立後の財産分与請求には期限もあるので、早めに対応しなければなりません。
この記事では、離婚成立後に財産分与請求をする方法について、京都の弁護士が解説します。
協議離婚などで離婚成立時に財産分与の取り決めをしなかった場合、ぜひ参考にしてみてください。
1 財産分与は離婚成立後でも請求できる
夫婦が離婚する際には、財産分与の取り決めができます。
財産分与とは、夫婦が婚姻中に取得した財産について、離婚する際又は離婚後に分けることをいいます。
協議離婚の場合、離婚成立時に夫婦が話し合って財産分与の方法を決定するケースが多いでしょう。
もっとも、離婚を急いでいたなどの事情があり、離婚成立時に財産分与の話し合いができない場合もあります。
たとえば、DV事案で相手から逃れて早く離婚したかった場合、財産分与を請求できないこともあるでしょう。
離婚成立時に財産分与を受けられなくても、離婚成立後に財産分与請求できる可能性があります。
離婚成立後、一定期間であれば、基本的に財産分与請求が可能です。
2 離婚成立後に財産分与請求できないケース
ただし、以下のような場合には、離婚成立後に財産分与請求ができません。
(1)相手と「財産分与しない」和解をしている
1つは、相手方との間で「財産分与請求をしない」と約束してしまっているケースです。
財産分与をしない内容で合意してしまっているので、後に財産分与請求ができません。
ただし、相手から騙されたり脅迫されたりして「財産分与請求しない」と合意させられた場合などには、財産分与を請求できる可能性があります。
(2)財産分与の期限を過ぎてしまった
2つ目として、財産分与の期限を過ぎてしまった場合です。。
財産分与には「離婚成立後2年間」という期限があります。
この期間内に財産分与請求しないと、財産分与請求権が失われてしまいます。
離婚成立後に財産分与請求したいのであれば、早めに対応する必要があるといえるでしょう。
3 離婚成立後に財産分与請求する手順
離婚成立後に財産分与請求する手順をご説明します。
(1)相手に協議を持ちかける
離婚成立後であっても、財産分与請求をする場合には基本的に話し合いによって決定します。
まずは、相手方に対し、財産分与についての協議を持ちかけると良いでしょう。
話し合いで財産分与の方法を決定します。
合意ができたら決定内容を「財産分与に関する合意書」にまとめましょう。
財産分与に関する合意書は、できれば公正証書にしておくようおすすめします。
公正証書に強制執行認諾文言を記載しておけば、相手が支払いを怠った場合には、スムーズに相手の財産を強制執行することが可能です。
公正証書がない場合には、相手が支払いをしないときにあらためて調停などの手続きをしなければなりません。
(2)財産分与調停を申し立てる
相手に財産分与の協議を持ちかけても応じてもらえない場合には、家庭裁判所で財産分与調停を申し立てましょう。
調停では、調停委員が間に入って話し合いを仲介してくれます。
自分たちだけでは解決できないケースでも話がまとまりやすくなるというメリットがあります。
また、財産分与の2年の期限が過ぎてしまいそうな場合でも、2年が経過する前に調停を申し立てれば調停の係属中に2年が過ぎても権利が守られます。
そこで、離婚成立後2年の除斥期間が過ぎてしまいそうな場合には、相手と話し合うステップを飛ばして財産分与調停を申し立てるケースも少なくありません。
(3)財産分与審判で財産分与の方法が決まる
財産分与調停で話し合っても両者が合意できない場合には、財産分与審判を利用します。
なお、財産分与調停が不成立になると自動的に審判に移行するので、別途審判を申し立てる必要はありません。
審判では、審判官(裁判官)が財産分与の具体的な方法を決定して、審判を下します。
調停と異なり、相手が納得しなくても、裁判所の判断を得ることができます。
4 基準時は離婚時または別居時とする
離婚成立後に財産分与請求するとき、いつの時点の財産を基準にするかという問題があります。
これについては、基本的に離婚時または別居時となります。
離婚前に別居していたら別居時、別居していなかったら離婚時です。
「話し合いをした時点」ではないので、基準時を間違わないように注意しましょう。
5 除斥期間が経過していても財産分与請求できる場合
離婚成立後の財産分与には、「離婚後2年間」の除斥期間が適用されます。
ただし、2年が経過していても、例外的に財産分与請求できる可能性があります。
それは、以下のような場合です。
- 相手から脅迫されて財産分与請求ができなかった
- 相手からだまされて請求すべき財産がないと思わされていた
- 相手が財産を隠していた
上記のような場合、不法行為に基づく損害賠償請求として、財産分与相当額を請求できる可能性があります。
相手からだまされて2年以内に財産分与を請求できなかった場合などには、2年が経過していてもあきらめずに弁護士へ相談しましょう。
京都の益川総合法律事務所では離婚や財産分与のサポートに力を入れて取り組んでいます。お困りの方がおられましたらお気軽にご相談ください。
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