コラム

財産分与で損をしないための8つのポイントを弁護士が解説

2022-02-04

財産分与は、離婚後の生活に直結する重要事項です。

損をしないように適正な方法を把握しておきましょう。

今回は、財産分与をなるべく有利に進めるために押さえておくべき8つのポイントについて、京都で離婚問題に積極的に取り組んでいる弁護士がご紹介します。

1 財産をもれなく洗い出し、財産隠しを防ぐ

財産分与で損をしないためには、対象財産を漏れなく洗い出すことが極めて重要です。

漏れがあると、その分は分与してもらえず、受け取り分が減らされてしまうからです。

 財産分与対象資産の例

  • 現金、預貯金、電子マネー、仮想通貨
  • 保険
  • 株式、投資信託、債券
  • 不動産
  • 退職金(将来支給される退職金も財産分与の対象となる可能性があります)
  • 社内積立
  • 共済貯金
  • 動産類

相手が管理している分についてはすべて開示してもらいましょう。

財産隠しは防がなければいけません。

相手が財産を開示しない場合、弁護士への依頼も有効です。

弁護士会照会という方法を使って、照会先が回答してくれる場合には、相手名義の預貯金や株式について、明らかにできる可能性があります。

どうしても開示を受けられない場合、調停や訴訟になれば裁判所へ申し立てを行い、裁判所を通じて調べてもらえる可能性もあります。

ご自身で財産を調査しきれない場合には、お気軽に弁護士にご相談ください。

2 適正に評価する

不動産や車、株式などの財産がある場合、評価をしなければ財産分与の金額の計算ができません。損をしないために、財産の適正な評価がなされることが極めて重要です。

こちらが財産を取得して代償金を払う場合、評価額が高くなると支払額が大きくなります。

一方、こちらが代償金を受け取る場合、評価額が高いと受け取れる金額が高くなります。

自分の立場により、評価が高い方が得か、低い方が得かが変わります。

相手が不当な評価額を持ち出してきたら、受け入れずに適正な評価額及び評価根拠を提示しましょう。

そのためにも、各財産の評価方法や評価証明書の入手方法を知っておく必要があります。

3 希望を明確にする

財産分与を有利に進めるためには、自分の希望を明確に伝えることが必要です。

特に多種多様な財産がある場合、どの財産を取得したいのか、相手に取得させる場合にいくらの代償金を求めるのか、あるいは売却して現金で分けたいのかなど、メリットやデメリットをふまえてしっかり検討しましょう。

いきあたりばったりな対応をしていると、相手のペースで話が進んで損をしてしまう可能性があります。

4 法的知識をもって対応する

財産分与を有利に進めるためには、法的な知識が必須です。

  • 対象となる財産の範囲
  • それぞれの財産の評価方法
  • 適正な財産分与割合
  • ローンがある場合の自宅の分け方
  • 借金の財産分与
  • 財産分与の進め方(話し合い、調停、訴訟など)
  • 財産の使い込みを防止する方法

上記のような知識がないと、自分のペースで話を進めるのは難しくなるでしょう。

もしも知識が足りない場合には、弁護士に相談するようおすすめします。

一度弁護士に相談して基本的な部分についてアドバイスを受けておけば、それをもとに自分で相手と交渉することも可能です。

また、弁護士に交渉を依頼すれば、より有利に解決できる可能性が高くなるケースが多くあります。

5 資料を集める

財産の資料集めも非常に重要です。

具体的な資料がないと、相手から「そんな資産はない」と主張される可能性が高くなり、調停や訴訟でも財産の存在を認めてもらえません。

預貯金通帳、取引履歴、保険証書や証券会社の資料、不動産全部事項証明書や固定資産評価証明書、車検証、給与明細書(積立や保険に関する記載があるもの)など、可能な限りの資料を手元に収集しましょう。

6 財産を勝手に処分されそうな場合には保全を申し立てる

財産分与を行う前に相手が勝手に財産を処分してしまったら、財産分与を受けにくくなってしまう可能性があります。

  • 別居中に相手が勝手に自宅を売却してしまう
  • 相手が受け取った数千万円の退職金を使い込んでしまう
  • 相手が勝手に保険を解約して解約返戻金を使い込んでしまう

こういったトラブルを防ぐには「保全処分」が有効です。

裁判所の命令により、相手方による売却などの処分を仮に禁止したり、相手方の資産を仮に差し押さえたりすることができます。

7 2分の1より多めの分与を求めることも可能な場合がある

財産分与の基本的な清算の割合は、原則として2分の1とされています。

ただし、夫婦双方が納得すれば、2分の1以外の割合で分けてもかまいません。

たとえば、妻側が仕事をしておらず子どもを引き取る場合、自宅を含めて多めの財産分与を受けるケースもあります。

相手が不倫した場合に、慰謝料代わりに高額な分与を受ける事例もみられます。

2分の1より多めの財産分与を受けられる可能性についても考慮しながら交渉を進めましょう。

8 相手が強硬な場合、弁護士に依頼する

相手が強硬なため自分で交渉しても思うように財産分与を受けられそうにない場合、早めに弁護士へ依頼しましょう。

相手から言いくるめられて不利な条件に応じてしまうと、後で覆すのが困難です。

当事務所には女性弁護士と男性弁護士の両方が在籍しており、男女それぞれの視点から離婚や財産分与の支援をいたします。

京都で離婚問題にお悩みの方がおられましたら、お気軽にご相談ください。

高額所得者と離婚するときの知識~財産分与、養育費、婚姻費用で損をしないように~

2022-01-28

医師や経営者、プロスポーツ選手などの高額所得者と離婚するときには、一般的な会社員の離婚の場合とは異なる注意点があります。

財産分与や養育費、婚姻費用なども高額となりますし、相手が会社経営をしている場合には、株式や会社名義の財産も問題となるでしょう。

今回は高額所得者と離婚するときに必須の知識を、京都の弁護士が解説します。

1 財産分与の割合

相手が高額所得者の場合、婚姻中に形成された資産額が多く、財産分与対象資産も高額になりがちです。

一般的な事案における財産分与の割合は「夫婦で2分の1ずつ」ですが、一方が高額所得者の場合、修正される可能性があります。

たとえば配偶者が医師で病院経営をしているケース、会社経営を行って大きく成功しているケースでは、請求者の財産分与割合を減らされるという裁判例もあります。

ただ、相手が医師や経営者だからといって、必ずしも財産分与割合が調整されるとは限りません。

調整するとしても、どこまで割合を減らすべきかについては、ケースバイケースで判断されます。30%とすべき事案もあれば40%、45%などとすべき事案もあります。

相手に財産分与を求めたとき「お前は財産形成に貢献していないから10%しか渡さない」などと言われても、鵜呑みにする必要はありません。

まずは一度、弁護士へ相談して妥当な割合を算定するところから始めましょう。

2 財産分与の対象資産

相手が高額所得者の場合、多種多様な財産を形成しているでしょう。

一般的な預貯金や生命保険などに加えて、株式や投資信託、投資用の不動産なども所有している方も多数います。

また、経営者の方は、退職金代わりに長期平準定期保険や逓増定期保険などの保険に加入している場合があります。こうした保険も財産分与の対象になる可能性があるので、見逃してはなりません。

さらに、相手が株式会社を経営していて、婚姻後に会社株式を取得した場合には、相手が保有する会社株式も財産分与対象になると考えられます。

財産分与の対象となる資産を見逃すと、受け取れる分与額が減ってしまうので、漏れなく調査して洗い出しましょう。

 財産分与対象資産の例

  • 現金、預貯金
  • 保険(退職金代わりの保険を含む)
  • 不動産(自宅及び投資用物件)
  • 上場株式(投資対象)
  • 投資信託
  • 自社株式
  • 高級時計、絵画、骨董品などの動産

3 会社名義の財産について

個人と会社は別人格なので、会社名義の財産は基本的に財産分与の対象になりません。

ただし、たとえば、夫のいわゆる「一人法人」で実質的には個人事業と同視できる場合、会社の創業時から妻も会社経営に中心的に携わっていて会社財産の形成に貢献している場合などには、会社名義の財産も一部財産分与の対象にできる可能性があります。

どこまでの財産が分与の対象になるかわからない場合、弁護士までご相談ください。

4 財産隠しに要注意

適正に財産分与を受けるためには、財産隠しを防がないといけません。

高額所得者は、さまざまな対象へ資産を分散させており、財産分与を避けるために一部の資産を隠そうとするケースがよくあります。

相手の開示資産を鵜呑みにせず、漏れがないか調査しましょう。自宅に保管されている資料類を探しても限界がありますので、弁護士への依頼も有効です。

弁護士会照会という方法を使って調査できる場合もありますし、調停や訴訟になれば、裁判所からの調査もできる可能性があります。

5 養育費や婚姻費用の計算方法

相手が高額所得者の場合、子どもの養育費や離婚するまでの別居中の婚姻費用(生活費)の計算方法にも工夫が必要です。

一般的に、養育費や婚姻費用は裁判所の定める「養育費、婚姻費用の算定表」を用いて計算します。しかし算定表は「給与所得者の場合に年収2000万円」が上限となっており、それを超える場合の金額が記載されていません。

年収2000万円を超える相手の場合、養育費や婚姻費用は個別に計算する必要があります。

家庭裁判所では、

  • 年収2000万円の場合の金額をそのまま適用する方法
  • 基礎収入を減らして調整し、個別計算する方法

などの対応がとられます。

具体的にどういった計算をあてはめるべきかについては、事案によって異なるので、相手と養育費や婚姻費用について話し合う際には、弁護士までご相談ください。

6 慰謝料の金額

配偶者が不倫したために婚姻関係が破綻した場合、配偶者から暴力やモラハラ被害を受けたために離婚する場合などには慰謝料を請求できます。

配偶者が医師や経営者などの高額所得者である場合、慰謝料の金額が高額になる可能性もあります。

一般的に、慰謝料の相場は50~300万円程度ですが、相手の収入や資産が高額なのに、その程度の金額では、被害者の気持ちが慰謝されにくいということもあるかもしれません。

特に話し合いで解決する場合、一般より高額な慰謝料額を定めるケースも多く、慰謝料代わりに不動産の分与を受けること、財産分与割合を増やしてもらうこともあります。

相手と交渉する際には、弁護士が対応することにより、有利な条件を引き出しやすくなることも多く、自分で対応するストレスもかかりません。

益川総合法律事務所には、男性弁護士も、女性弁護士も在籍しております。

医師や経営者などの高額所得者と離婚する際には、お気軽にご相談ください。

離婚に応じてもらえないときの対処方法

2022-01-21

「離婚したい」と思っても、相手が応じてくれなければ協議離婚はできません。

日本では、夫婦の双方が離婚に合意しないと協議離婚や調停離婚できないルールになっているからです。相手の承諾なしに勝手に離婚届を書いて提出すると「偽造」になってしまい、離婚自体が無効になる可能性が高いのでやってはいけません。

相手に離婚を拒否されても、正しい手順を踏めば離婚できるケースが大多数です。

今回は離婚に応じてもらえない場合の対処方法を弁護士がお伝えします。

1 説得する

相手が離婚に応じない場合、落ち着いて粘り強く説得すれば離婚できる可能性があります。

たとえば、相手が「妻(夫)は離婚したいと言っているが、単なる気の迷いだろう。放っておけばそのうち落ち着いて元の状態に戻る」などと軽く考えている場合、こちらが本気であると伝えれば相手も真剣になるものです。

当初は「離婚はしたくない」と言っていても、時間をかけて何度も説得すれば相手も根負けする事例が少なくありません。

説得の際には感情的にならず、できる限りビジネスライクに「離婚すべき理由」や「希望する離婚条件」を伝えましょう。

こちらが感情的になると相手も感情的になり、単なる言い合いになって話し合いが難しくなってしまいます。

2 別居する

相手が頑なに離婚を拒否する場合、別居を検討しましょう。

別居すると「配偶者のいない生活」が日常になるので、お互いに「離婚後の生活」を意識するようになります。「離婚したくない」と言っていた相手でも、配偶者に家を出ていかれたら「離婚するしかないか」と考え始めるケースが少なくありません。

3 婚姻費用を請求する

相手が一家の大黒柱でこちらが専業主婦または専業主夫などの事案では、別居後の婚姻費用を請求しましょう。

婚姻費用とは、夫婦が互いに分担すべき、婚姻生活を維持するために必要な費用です。収入の高い側が低い側へ払わねばならないので、専業主婦・専業主夫や兼業主婦・兼業主夫などで相手より低収入の方は離婚するまで婚姻費用を請求できます。

相手が婚姻費用の支払いを拒否しても、家庭裁判所で婚姻費用の分担請求調停を申し立てれば、最終的に裁判官が審判により結論を出してくれます。

婚姻費用は「離婚するか別居を解消するまで」払う義務が続くので、相手にしてみれば「離婚しないと高額な婚姻費用を毎月払い続けなければならない」状況になります。

婚姻費用の請求はこちらの生活を維持するために重要ですが、それ以外にも相手にプレッシャーをかけて、離婚への動機づけとなるという意味があります。

4 弁護士を代理人に入れて交渉する

相手が離婚に応じないときには、弁護士を代理人に立てて交渉する方法もおすすめです。

弁護士が代理人になると、相手との連絡はすべて弁護士を介するので、相手と直接連絡をとることはなくなります。

弁護士からも「もう離婚するしかないのでは」「離婚して先に進んだほうがよい」「このまま拒否していると調停や訴訟に進むしかなくなる」と伝えて離婚に応じるよう説得するため、相手としても「いよいよ離婚するしかないか」と腹をくくるケースが多数です。

また弁護士を代理人に立てれば、財産分与や養育費などの離婚条件についての希望も叶えやすくなり、有利な条件で離婚しやすくなるメリットもあります。

調停を申し立てる前に、弁護士を入れて交渉してみると、早めに協議離婚できる可能性もありますので、検討してみられてはいかがでしょうか。

5 離婚調停を申し立てる

協議離婚できない場合には、離婚調停を申し立てましょう。

調停では、家庭裁判所の調停委員が間に入って話し合いを進めます。夫婦が直接顔を突き合わせて話す機会はなく、待合室も別々なので裁判所内では基本的に顔を合わせません。

こちらの離婚意思が固い場合、調停委員としても相手に離婚に応じるよう説得してくれるケースが多数です。そこで、協議段階では離婚を拒否していても、調停になるとあきらめて離婚に応じる人が少なくありません。

調停申立時に婚姻費用についての話し合いができていなければ、婚姻費用分担調停と離婚調停を同時に申し立てることも可能です。

6 調停が不成立になったときの対処方法

調停でも、相手が頑なに離婚を拒否する場合、調停は不成立になります。

その場合、以下のような選択肢を検討しましょう。

(1)あらためて交渉を継続

調停後、あらためて相手と離婚協議を行う方法です。特に調停前に弁護士を入れて交渉した経緯がない場合、調停後は弁護士を代理人として交渉を持ちかけてみるのがおすすめです。

相手の気が変わって離婚に応じる可能性がありますし、拒否すれば離婚訴訟の提起も検討できます。

(2)時間をおいて再度調停を申し立てる

別居後、時間をおいてあらためて調停を申し立てる方法もあります。

(3)離婚訴訟を提起する

法定離婚事由があれば、離婚訴訟を提起しましょう。

法定離婚事由とは、法律上の離婚原因です。きちんと主張立証して、裁判所がそれを認めてくれた場合には、離婚の請求を認める判決を出してくれます。

法定離婚事由となるのは以下のような事情です。

  • 相手の不貞(不倫)
  • 生活費不払い
  • 家出
  • DV
  • モラハラ
  • 長期間の別居
  • 相手が3年以上生死不明
  • 相手が回復しがたい精神病

7 最後に

当事務所の弁護士は、離婚に応じない相手とも粘り強く交渉を行い、ご希望に沿った形での離婚を実現するお手伝いを致します。

男性弁護士と女性弁護士が在籍しており、あらゆる方にご安心してご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。

Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0752555205電話番号リンク 問い合わせバナー