昨今、悪質なクレーマーに悩まされる企業が増えています。
悪質なクレーマーは、その対応を間違えると、更に過剰な要求をしてくるため、注意が必要です。
そこで、今回は、悪質なクレーマーにお困りの方に、知っておいて頂きたい知識を凝縮して解説いたします。
このページの目次
1 悪質なクレーマーとは
悪質なクレーマーとは、要求態度や要求内容などが、社会通念に照らして相当性を欠いている人をいいます。一言でいうと、常識外れの要求や態度を示す人です。
悪質なクレーマーにも、様々な種類がありますが、クレーマーの目的に着眼すれば、下記の分類に分けることができます。
①金品要求型
金銭やお詫びの品を目的としているタイプです。
多くの場合、自ら金銭を要求するのではなく、誠意を示してほしいなどと言って、会社側から自発的に金品を渡すように仕向けてきます。
このようなタイプのクレーマーに一度金品を渡した場合、継続して金品を要求してくることもあるので、注意が必要です。
②ストレス発散型
日常生活のストレスを発散することを目的としているタイプです。
このタイプは、金品を要求してくることはないのですが、従業員を長時間拘束してくる傾向にあるため、従業員を激しく疲弊させてきます。
ずっとクレームに付き合うのではなく、どこかで区切りをつけることが必要になってきます。
③従業員攻撃型
特定の従業員を攻撃することを目的としているタイプです。
当該従業員の謝罪のみならず、土下座や解雇などを要求してくることもあります。
会社としても、当該従業員を守るための姿勢を示すことが必要になってきます。
2 悪質なクレーマーへの対応策
悪質なクレーマーには、以下の6つのポイントを押さえて対応することが重要です。
(1)クレームの内容を理解する
まずは、クレームの内容を確認し、当該顧客が何に不満を持っているかを把握することが必要になります。
この段階では、顧客のクレームが正当なものかを判定することになります。
(2)事実を確認する
次に、顧客のクレーム内容が真実であるかを確認します。
当該顧客の内容が、全くもって事実無根なのか、一部は真実なのか、全部真実であるのかを確認します。
そもそも当該顧客のクレームが、顧客の勘違いであったり、事実を誇大に表現していることも少なくありません。
(3)謝罪対象を明らかにする
悪質なクレーマーへの対応で重要なのが、謝罪対象を明らかにすることです。
悪質なクレーマーに全面的に謝罪してしまうと、そのことを理由に更に過剰な要求をしてくる傾向にあります。
そのため、下記の具体例のように、謝罪対象を明確にして、謝罪をすることが必要です。
■自社に落ち度がなかった場合(又は落ち度があったか否かの確認ができていない場合)
具体例:「不快な思いをさせてしまって、申し訳ありません。」
謝罪対象は顧客に不快な思いをさせたことに限定するべきです。
■自社に落ち度があった場合
具体例:「(ミスの内容を入れる)~してしまって、申し訳ありません。」
謝罪対象を当該ミスの内容に限定すべきです。
(4)要求を断る
悪質なクレーマーに対しては、その要求を受け入れず、明確に断ることが必要です。
悪質なクレーマーに対して下手に出ると、相手方の態度や要求が更に大きくなってしまうので得策ではありません。
悪質なクレーマーに対しては、お客様であるとの意識をなくし、対等な関係で話を進めることが重要です。
仮に、自社に落ち度があったとしても、その落ち度に応じて対応すればよく、悪質なクレーマーの要求の全てを受け入れるべきではありません。
特に、自社に落ち度があるケースでは、悪質なクレーマーの言いなりになってしまって、更に過剰な請求をされている会社が多いように見受けられるので、注意が必要です。
(5)証拠を作る
悪質なクレーマーに対応する場合には、録音などによって証拠を作ることが重要です。
悪質なクレームの証拠を取っておけば、後にその証拠を交渉材料に使うことができますし、場合によっては、その証拠を基に、脅迫罪や威力業務妨害罪などを理由として刑事告訴を検討することができます。
交渉において、これまでの録音があると言えば、相手方が要求を取り下げることも少なくありません。
(6)弁護士に相談する
悪質なクレーマーか否かを判断する際に、当該顧客の要求内容が法的に正しいのかを検討することになりますが、自社での判断は難しいことが多いです。
また、クレーマーからの要求を断る際に、弁護士からの回答の結果である旨を伝えることで、法的な観点を示せる上、怒りの矛先の自社から弁護士に変更でき、結果的にクレーマーが納得することも多いです。
3 弁護士にご相談いただくメリット
悪質なクレーマーにお困りの方は、弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
弁護士にご相談いただくことで、相手方の要求内容が法的に正しいのかを検討することができますし、自社での対応が困難な場合には、弁護士にご依頼いただくこともできます。
悪質なクレーマーについては、初回の対応が重要であるため、単に当該案件を処理するのみならず、今後のクレーム対応マニュアルなどを作らせていただくことも可能です。
特に、自社に顧問弁護士を付け、顧問弁護士に依頼することで、自社の内情を理解した上での迅速な対応が期待できるので、お勧めいたします。
当事務所は、1983年の創業以来、東証一部上場企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、多数のクレーマー問題を解決してきました。
もし、悪質なクレーマーにお困りの場合には、お気軽に当事務所までご相談下さい。