様々な債権回収方法と特徴

債権回収には、様々な方法があり、債権者の置かれた状況によって方法を選択していく必要があります。

そこで、今回は、債権回収の方法と各方法の特徴などについてご説明いたします。

1 債権回収の方法と特徴

債権回収には、①内容証明、②民事調停、③支払督促、④少額訴訟、⑤通常訴訟といった方法があります。

(1)内容証明

債権回収を考えた場合、最初に利用されることの多いのが、債務者に対する内容証明郵便の送付です。

内容証明とは、書留郵便の一種で、いつ、どのような内容の文書を誰から誰に対して差し出されたのかということを、郵便局に証明してもらう制度になります。

この内容証明において、債権者が相手方に対してどのような権利を有しているかを説明した上で、金銭の支払いを請求することになります。

内容証明の特徴は、以下の通りです。

  • 債権回収の入り口で利用されることが多い
  • 電話での支払催促に比べて、相手方に債権回収の本気度が伝わりやすい
  • 郵便局に当該書面を送付したことを証明してもらえるため、裁判になった際に証拠として使用できる

(2)民事調停

民事調停とは、裁判所が扱う手続きの一種で、話し合いにより紛争の解決を図る手続きです。

電話や内容証明などの書面にて、金銭の支払いを請求しても、相手方が支払ってくれない場合には、民事調停の利用を検討することになります。

民事調停の特徴は、以下の通りです。

  • 申立ての手続きが簡単である
  • 当事者同士の話し合いによって解決する制度なので、裁判に比べて円満に解決できる
  • 相手方が話し合いに応じない場合、解決することができない

参考情報:「民事調停|裁判所」

https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_04_02_10/index.html

(3)支払督促

支払督促とは、債権者の申立てによって、裁判所から債務者に対して金銭の支払いを督促する手続きです。

電話や内容証明などの書面にて、金銭の支払いを請求しても、相手方が支払ってくれない場合には、支払督促の利用を検討することになります

支払督促の特徴は、以下の通りです。

  • 書類審査のため、訴訟の場合のように審理のために裁判所に行く必要がない
  • 早く解決できる可能性がある
  • 債務者が異議を申し立てると、通常訴訟に移行する

参考情報:「支払督促|裁判所」

https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_04_02_13/index.html

(4)少額訴訟

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める際にのみ利用できる特別な訴訟手続をいいます。

電話や内容証明などの書面にて、金銭の支払いを請求しても、相手方が支払ってくれない場合には、少額訴訟の利用を検討することになります。

少額訴訟の特徴は、以下の通りです。

  • 原則として1回の期日で審理を終えて判決をするため、迅速に解決できる
  • 60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限り、利用できる
  • 債務者が少額訴訟に同意しなかった場合や、一方当事者が判決に対して異議申立をした場

合には、通常訴訟に移行する

参考情報:「少額訴訟|裁判所」

https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_04_02_02/index.html

(5)通常訴訟

通常訴訟とは、当事者双方が主張と証拠を出し合い、裁判所がその主張と証拠に基づいて最終的には判決を出す手続になります。

相手方が任意に金銭の支払いをしない場合には、通常訴訟の利用を検討することになります。

通常訴訟の特徴は、以下の通りです。

  • 相手方が支払に応じない場合にも、強制的に解決を図ることができる
  • 相手方の心理的なプレッシャーが一番大きい
  • 解決までに時間と労力を要する

参考情報:「通常訴訟|裁判所」

https://www.courts.go.jp/tokyo-s/saiban/l3/Vcms3_00000321.html

(6)まとめ

債権回収の方法 各方法の特徴
内容証明
  • 債権回収の入り口で利用される
  • 電話での支払催促に比べて、相手方に債権回収の本気度が伝わる
  • 裁判になった際に証拠として使用できる
民事調停
  • 申立ての手続きが簡単である
  • 裁判に比べて円満に解決できる
  • 相手方が話し合いに応じない場合、解決することができない
支払督促
  • 訴訟の場合のように審理のために裁判所に行く必要がない
  • 早く解決できる可能性がある
  • 債務者が異議を申し立てると、通常訴訟に移行する
少額訴訟
  • 原則として1回の期日で審理を終えて判決をするため、迅速に解決できる
  • 60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限り、利用できる
  • 通常訴訟に移行する可能性がある
通常訴訟
  • 強制的に解決を図ることができる
  • 相手方の心理的なプレッシャーが一番大きい
  • 解決までに時間と労力を要する

2 一般的な債権回収の流れ

① 内容証明郵便の送付(並行して電話での支払請求)

益川総合法律事務所

② 相手方との交渉

益川総合法律事務所

交渉決裂

③ 民事調停、支払督促、少額訴訟、通常訴訟の検討

益川総合法律事務所

相手方が任意に支払わない

④ 強制執行

裁判などによって、相手方が金銭の支払いを義務付けられたとしても、相手方が任意に支払わなければ、強制執行を行うことによって債権回収を図る必要があります。

具体的には、相手方の預金口座.不動産.動産.売掛金債権などの財産を差し押さえることが考えられます。

強制執行を行う場合には、裁判所に申立てを行うことになります。

3 債権回収にお困りの方は当事務所へ

債権回収をお考えの方は、弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

弁護士にご相談いただいた場合には、その時々に応じて適切に債権回収のために取るべき措置についてお話しすることができますし、債権回収を自社で対応しても中々うまくいかないことも多いです。

当事務所は、1983年の創業以来、東証一部上場企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、多数の債権回収案件を解決してきました。

もし、債権回収をお考えであれば、お気軽に当事務所までご相談下さい。

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