過去に、労働トラブルで裁判になったことがある経営者の方の中には、もう従業員との労働問題は発生させたくないと仰る方も多いです。
これは、想像以上に、従業員との裁判が、企業にとって負担だったからでしょう。
今回は、労働問題を未然に防ぐための方法などについて、企業側で労働問題に注力する弁護士が解説いたします。
このページの目次
1.なぜ労働問題を未然に防ぐ必要があるのか
企業の目的は、企業活動を通じて、社会に貢献し、利益を生み出すことにあります。
しかし、従業員との間で労働問題が発生しても、この目的には合致しません。
それどころか、従業員との労働問題が発生して、労働審判や裁判になると、これらの準備にかかる会社の負担も大きいです。また、この労働問題が他の従業員に波及したり、士気低下を防ぐためにも、会社としても費用対効果のみを考えて安易に妥協することができないこともあります。
そのため、紛争が発生してから、裁判が終わるまでに2年~3年ほどかかる事案もあるのです。
このように、労働問題が発生すると、会社にとっても大きな負担になってきます。
2.労働問題を未然に防ぐために
2-1.就業規則等の整備や見直し
まずは、就業規則等の整備や見直しを行うことが重要です。
企業の中には、そもそも就業規則がなかったり、昔もらったひな形をそのまま使っているという会社もあります。
しかし、就業規則がなければ、従業員に対する懲戒処分さえ行えないという事態にもなりかねません。
また、労働関係法令は、時代の変化に伴い改正が繰り返されている上、新しい判例も出てきており、これらに合うように就業規則の規定を見直していく必要があります。
2-2.従業員に誓約書の提出を求める
もし、退職後の従業員による、自社の顧客や従業員の引き抜き、秘密の漏洩を懸念されるのであれば、従業員に誓約書を提出してもらうことを検討すべきです。これは、退職後の従業員に対して、競業行為の一部制限を設けたい場合にも同じです。
これらの場合には、従業員の入社時及び退職時に、誓約書を作成してもらいましょう。
この誓約書については、裁判例で無効とされるケースも多いので、無効にされないように弁護士と協議しながら慎重に作成することをお勧めいたします。
3.弁護士と社労士の違い
「労働問題を弁護士と社労士のどちらに相談すれば良いですか?」と聞かれることがありますので、簡単に説明いたします。
社労士は、社会保険の手続きや給与計算、年金相談、労務管理についての専門家です。
社労士も労働関係についての専門化ですが、弁護士との大きな違いは、社労士では労働審判や裁判という紛争には対応できない点にあります。逆に言えば、弁護士は、労働審判や裁判に対応しているからこそ、これらになった時に不利にならないようにアドバイスを行うことが可能です。
そのため、少なくとも、将来の紛争予防も踏まえてアドバイスが欲しい時は、弁護士に相談して頂くのが良いです。
実際に、顧問弁護士と顧問社労士の双方を抱えている企業も多く、弁護士の立場からしても、社労士の先生方と共に、企業発展に貢献しています。
4.最後に
京都の益川総合法律事務所では、企業側の労働法務への支援体制を整えております。
労働問題を未然に防ぎたいとお考えの企業経営者の方やご担当者の方は、お気軽にご相談ください。