離婚成立後に財産分与の請求をする方法について

離婚成立時に財産分与について合意しなかった場合、離婚成立後であっても財産分与を請求できます。ただし、離婚成立後の財産分与請求には期限もあるので、早めに対応しなければなりません。

この記事では、離婚成立後に財産分与請求をする方法について、京都の弁護士が解説します。

協議離婚などで離婚成立時に財産分与の取り決めをしなかった場合、ぜひ参考にしてみてください。

1 財産分与は離婚成立後でも請求できる

夫婦が離婚する際には、財産分与の取り決めができます。

財産分与とは、夫婦が婚姻中に取得した財産について、離婚する際又は離婚後に分けることをいいます。

協議離婚の場合、離婚成立時に夫婦が話し合って財産分与の方法を決定するケースが多いでしょう。

もっとも、離婚を急いでいたなどの事情があり、離婚成立時に財産分与の話し合いができない場合もあります。

たとえば、DV事案で相手から逃れて早く離婚したかった場合、財産分与を請求できないこともあるでしょう。

離婚成立時に財産分与を受けられなくても、離婚成立後に財産分与請求できる可能性があります。

離婚成立後、一定期間であれば、基本的に財産分与請求が可能です。

2 離婚成立後に財産分与請求できないケース

ただし、以下のような場合には、離婚成立後に財産分与請求ができません。

(1)相手と「財産分与しない」和解をしている

1つは、相手方との間で「財産分与請求をしない」と約束してしまっているケースです。

財産分与をしない内容で合意してしまっているので、後に財産分与請求ができません。

ただし、相手から騙されたり脅迫されたりして「財産分与請求しない」と合意させられた場合などには、財産分与を請求できる可能性があります。

(2)財産分与の期限を過ぎてしまった

2つ目として、財産分与の期限を過ぎてしまった場合です。。

財産分与には「離婚成立後2年間」という期限があります。

この期間内に財産分与請求しないと、財産分与請求権が失われてしまいます。

離婚成立後に財産分与請求したいのであれば、早めに対応する必要があるといえるでしょう。

3 離婚成立後に財産分与請求する手順

離婚成立後に財産分与請求する手順をご説明します。

(1)相手に協議を持ちかける

離婚成立後であっても、財産分与請求をする場合には基本的に話し合いによって決定します。

まずは、相手方に対し、財産分与についての協議を持ちかけると良いでしょう。

話し合いで財産分与の方法を決定します。

合意ができたら決定内容を「財産分与に関する合意書」にまとめましょう。

財産分与に関する合意書は、できれば公正証書にしておくようおすすめします。

公正証書に強制執行認諾文言を記載しておけば、相手が支払いを怠った場合には、スムーズに相手の財産を強制執行することが可能です。

公正証書がない場合には、相手が支払いをしないときにあらためて調停などの手続きをしなければなりません。

(2)財産分与調停を申し立てる

相手に財産分与の協議を持ちかけても応じてもらえない場合には、家庭裁判所で財産分与調停を申し立てましょう。

調停では、調停委員が間に入って話し合いを仲介してくれます。

自分たちだけでは解決できないケースでも話がまとまりやすくなるというメリットがあります。

また、財産分与の2年の期限が過ぎてしまいそうな場合でも、2年が経過する前に調停を申し立てれば調停の係属中に2年が過ぎても権利が守られます。

そこで、離婚成立後2年の除斥期間が過ぎてしまいそうな場合には、相手と話し合うステップを飛ばして財産分与調停を申し立てるケースも少なくありません。

(3)財産分与審判で財産分与の方法が決まる

財産分与調停で話し合っても両者が合意できない場合には、財産分与審判を利用します。

なお、財産分与調停が不成立になると自動的に審判に移行するので、別途審判を申し立てる必要はありません。

審判では、審判官(裁判官)が財産分与の具体的な方法を決定して、審判を下します。

調停と異なり、相手が納得しなくても、裁判所の判断を得ることができます。

4 基準時は離婚時または別居時とする

離婚成立後に財産分与請求するとき、いつの時点の財産を基準にするかという問題があります。

これについては、基本的に離婚時または別居時となります。

離婚前に別居していたら別居時、別居していなかったら離婚時です。

「話し合いをした時点」ではないので、基準時を間違わないように注意しましょう。

5 除斥期間が経過していても財産分与請求できる場合

離婚成立後の財産分与には、「離婚後2年間」の除斥期間が適用されます。

ただし、2年が経過していても、例外的に財産分与請求できる可能性があります。

それは、以下のような場合です。

  • 相手から脅迫されて財産分与請求ができなかった
  • 相手からだまされて請求すべき財産がないと思わされていた
  • 相手が財産を隠していた

上記のような場合、不法行為に基づく損害賠償請求として、財産分与相当額を請求できる可能性があります。

相手からだまされて2年以内に財産分与を請求できなかった場合などには、2年が経過していてもあきらめずに弁護士へ相談しましょう。

京都の益川総合法律事務所では離婚や財産分与のサポートに力を入れて取り組んでいます。お困りの方がおられましたらお気軽にご相談ください。

お問い合わせフォーム

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

0752555205電話番号リンク 問い合わせバナー