財産分与は、離婚後の生活に直結する重要事項です。
損をしないように適正な方法を把握しておきましょう。
今回は、財産分与をなるべく有利に進めるために押さえておくべき8つのポイントについて、京都で離婚問題に積極的に取り組んでいる弁護士がご紹介します。
このページの目次
1 財産をもれなく洗い出し、財産隠しを防ぐ
財産分与で損をしないためには、対象財産を漏れなく洗い出すことが極めて重要です。
漏れがあると、その分は分与してもらえず、受け取り分が減らされてしまうからです。
財産分与対象資産の例
- 現金、預貯金、電子マネー、仮想通貨
- 保険
- 株式、投資信託、債券
- 不動産
- 車
- 退職金(将来支給される退職金も財産分与の対象となる可能性があります)
- 社内積立
- 共済貯金
- 動産類
相手が管理している分についてはすべて開示してもらいましょう。
財産隠しは防がなければいけません。
相手が財産を開示しない場合、弁護士への依頼も有効です。
弁護士会照会という方法を使って、照会先が回答してくれる場合には、相手名義の預貯金や株式について、明らかにできる可能性があります。
どうしても開示を受けられない場合、調停や訴訟になれば裁判所へ申し立てを行い、裁判所を通じて調べてもらえる可能性もあります。
ご自身で財産を調査しきれない場合には、お気軽に弁護士にご相談ください。
2 適正に評価する
不動産や車、株式などの財産がある場合、評価をしなければ財産分与の金額の計算ができません。損をしないために、財産の適正な評価がなされることが極めて重要です。
こちらが財産を取得して代償金を払う場合、評価額が高くなると支払額が大きくなります。
一方、こちらが代償金を受け取る場合、評価額が高いと受け取れる金額が高くなります。
自分の立場により、評価が高い方が得か、低い方が得かが変わります。
相手が不当な評価額を持ち出してきたら、受け入れずに適正な評価額及び評価根拠を提示しましょう。
そのためにも、各財産の評価方法や評価証明書の入手方法を知っておく必要があります。
3 希望を明確にする
財産分与を有利に進めるためには、自分の希望を明確に伝えることが必要です。
特に多種多様な財産がある場合、どの財産を取得したいのか、相手に取得させる場合にいくらの代償金を求めるのか、あるいは売却して現金で分けたいのかなど、メリットやデメリットをふまえてしっかり検討しましょう。
いきあたりばったりな対応をしていると、相手のペースで話が進んで損をしてしまう可能性があります。
4 法的知識をもって対応する
財産分与を有利に進めるためには、法的な知識が必須です。
- 対象となる財産の範囲
- それぞれの財産の評価方法
- 適正な財産分与割合
- ローンがある場合の自宅の分け方
- 借金の財産分与
- 財産分与の進め方(話し合い、調停、訴訟など)
- 財産の使い込みを防止する方法
上記のような知識がないと、自分のペースで話を進めるのは難しくなるでしょう。
もしも知識が足りない場合には、弁護士に相談するようおすすめします。
一度弁護士に相談して基本的な部分についてアドバイスを受けておけば、それをもとに自分で相手と交渉することも可能です。
また、弁護士に交渉を依頼すれば、より有利に解決できる可能性が高くなるケースが多くあります。
5 資料を集める
財産の資料集めも非常に重要です。
具体的な資料がないと、相手から「そんな資産はない」と主張される可能性が高くなり、調停や訴訟でも財産の存在を認めてもらえません。
預貯金通帳、取引履歴、保険証書や証券会社の資料、不動産全部事項証明書や固定資産評価証明書、車検証、給与明細書(積立や保険に関する記載があるもの)など、可能な限りの資料を手元に収集しましょう。
6 財産を勝手に処分されそうな場合には保全を申し立てる
財産分与を行う前に相手が勝手に財産を処分してしまったら、財産分与を受けにくくなってしまう可能性があります。
- 別居中に相手が勝手に自宅を売却してしまう
- 相手が受け取った数千万円の退職金を使い込んでしまう
- 相手が勝手に保険を解約して解約返戻金を使い込んでしまう
こういったトラブルを防ぐには「保全処分」が有効です。
裁判所の命令により、相手方による売却などの処分を仮に禁止したり、相手方の資産を仮に差し押さえたりすることができます。
7 2分の1より多めの分与を求めることも可能な場合がある
財産分与の基本的な清算の割合は、原則として2分の1とされています。
ただし、夫婦双方が納得すれば、2分の1以外の割合で分けてもかまいません。
たとえば、妻側が仕事をしておらず子どもを引き取る場合、自宅を含めて多めの財産分与を受けるケースもあります。
相手が不倫した場合に、慰謝料代わりに高額な分与を受ける事例もみられます。
2分の1より多めの財産分与を受けられる可能性についても考慮しながら交渉を進めましょう。
8 相手が強硬な場合、弁護士に依頼する
相手が強硬なため自分で交渉しても思うように財産分与を受けられそうにない場合、早めに弁護士へ依頼しましょう。
相手から言いくるめられて不利な条件に応じてしまうと、後で覆すのが困難です。
当事務所には女性弁護士と男性弁護士の両方が在籍しており、男女それぞれの視点から離婚や財産分与の支援をいたします。
京都で離婚問題にお悩みの方がおられましたら、お気軽にご相談ください。