能力の低い社員への対応方法

社内に能力の低い従業員がいると、経営の負担になるものです。

能力が低いからといって簡単に辞めさせることもできません。

この記事では、京都で企業法務に積極的に取り組む弁護士が、能力の低い「ローパフォーマー」社員への対応方法をお伝えします。

成績の振るわない社員やモチベーションの低い社員にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

1 能力の低い社員(ローパフォーマー)とは

どのような会社にも、一定数は能力の低い社員がいるものです。

人は集団になると、上位2割が実績や生産性が高い優秀なグループとなり、6割は平均的、下位2割は実績も生産性も低く劣後するグループになるといわれています。

これを「2-6-2の法則」などともいいます。

いずれにせよ、どんなに注意して採用面接を行ったとしても、一定数の社員が能力不足になるのは避けようがないでしょう。

このように、会社にとって負担となる低能力社員のことを「ローパフォーマー」ともいいます。

2 能力の低い社員(ローパフォーマー)の具体例

  • 本人は一生懸命に仕事をしているが、他の社員と比べて明らかに生産性が低い、失敗が多い、仕事が遅い
  • 何度注意しても改善されない、注意の意味や目的をわかってくれない
  • 本人のモチベーションが低い
  • 本人の生産性やモチベーションの低さが周囲の従業員にも波及して悪い影響が及んでいる

3 ローパフォーマー社員を放置するデメリット

社内にローパフォーマー社員が増えるとさまざまなデメリットがあります。

(1)会社全体の生産性が低下

ローパフォーマーは成績が振るわず、何をさせてもうまくいかないケースが多数です。

能力が低い社員が増えると会社全体の生産性が低下してしまう可能性もあります。

(2)他のメンバーのモチベーション低下

社内にローパフォーマーがいると、他の社員にそのしわ寄せが来ます。

同じ給料をもらっているのに他の社員の負担が重くなってしまうと、他の社員が不満を抱くでしょう。

離職者が発生する可能性もありますし、組織全体のモラルダウンをもたらすケースも少なくありません。

(3)非効率的

ローパフォーマーの行う仕事を他の社員がカバーしなければならないので、業務の流れが非効率的になります。

(4)給料が高すぎて負担になる

ローパフォーマーに与えられる仕事は限定的であるにもかかわらず、簡単に給与カットできるわけではありません。

結果的に、本人の仕事に見合わない高額な報酬や処遇を与えることとなり、企業に負担になります。

4 能力の低い社員への対処方法

社内に能力の低い従業員がいる場合、以下のように対応しましょう。

(1)適正な人事評価制度の構築

まずは、適正な人事評価制度を構築することが重要です。

ローパフォーマーにはローパフォーマーなりの評価を行い、報酬や処遇を決定すれば会社にとっても過度な負担になりません。

他の従業員の待遇がローパフォーマーより良ければ、不満も溜まりにくいでしょう。

(2)指導や研修を積極的に行う

ローパフォーマーへの指導や教育研修を積極的に行うべきです。

能力不足の原因が単に未熟なだけであれば、指導や研修、改善行動の繰り返しによって徐々に状況が変化していく効果も期待できます。

(3)人事の変更で解決できることも

ローパフォーマーが生み出される要因が「上司」や「人間関係」「仕事内容」にあるケースでの対応です。

周囲の人間関係が悪かったり仕事内容が合っていなかったりして本人のモチベーションが上がらず生産性が悪くなっている状態であれば、本人と面談して問題点を把握したうえで、人事や部署を変更してみましょう。

パフォーマンスが改善される可能性があります。

(4)退職勧奨

どうしても状況を改善させられない場合には、本人へ退職勧奨するのも1つの方法です。

本人が退職を受け入れれば、解雇しなくても辞めさせることができます。

ただ、本人が会社に不満を抱いていなければ、退職に合意しにくいでしょう。

退職金を上乗せするなど、一定程度有利な条件を提示しなければ難しい可能性はあります。

(5)最終的には解雇も検討する

退職勧奨をしても受け入れられなかった場合、最終的にはローパフォーマー社員を解雇するしかありません。

ただし、能力が低いからといって簡単に解雇できないので、注意深く進める必要があります。

裁判例でも、能力不足を理由とした解雇については相当厳しい判断が行われています。

具体的には以下のような事情を考慮して、解雇の有効性が判断されるケースが多数です。

  • 対象者との労働契約において、求められる能力の内容や程度
  • 能力不足が労働契約を継続できないほど重大であるか
  • 企業側が対象従業員に対し、改善矯正を促したり努力反省の機会を与えたりしたか、それでも改善されなかったのか
  • 今後の指導教育によっても改善可能性の見込みがまったくないのか

解雇は慎重に進めないと後に「不当解雇」として会社側が訴えられるリスクが高いので、事前に弁護士へ相談しましょう。

京都の益川総合法律事務所では、多数の企業に対して、ローパフォーマー対策についての助言を行ってきました。

お悩みの経営者や人事担当者の方がおられましたらお気軽にご相談ください。

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