社員が逮捕されたとき、会社がとるべき対応とは

社員(従業員)が逮捕されると、会社としてはどのように対応すれば良いのでしょうか。

逮捕されたからといって、社員をすぐに解雇できるわけではありません。

また、逮捕後はしばらく出勤できなくなるので、休職に際しての取扱い方法なども押さえておきましょう。

この記事では、社員が逮捕された場合に会社がとるべき対応について、京都の弁護士が解説します。

いざというときに慌てないために、ぜひ頭に入れておいてください。

1 社員が逮捕されたときに会社がとるべき対応

ある日突然社員が逮捕されてしまったら、会社としては以下のような対応をしましょう。

(1)事件の内容を確認する

まずは、社員がどのような事件を起こして逮捕されたのか、事実関係を把握すべきです。

業務中に起こした事件かどうかも問題になります。

もし、業務中に事件を起こした場合、会社にも使用者責任が成立し、被害者から損害賠償請求される可能性があります。

(2)身柄拘束場所を確認

次に、社員が身柄拘束されている場所を確認しましょう。

一般的には、逮捕された場合には、どこかの警察の留置施設で身柄拘束されていることが多いです。

警察から連絡が来たときには警察に確認すると良いですし、そうでない場合には親族が知っているケースが多いので、聞いてみると良いでしょう。

(3)本人の認識を確認

逮捕されたからといって、被疑事実が真実とは限りません。

実際には犯罪行為をしていないケースもあります。従業員が逮捕されたら、本人から事情を聞きましょう。

また、逮捕勾留期間には出勤できなくなります。その間に有給休暇を消化する意向があるのかなども確認しなければなりません。

本人が身柄拘束されている留置場へ行き、面会して話を聞きましょう。

ただし、被疑者が逮捕されると、その後「勾留」に切り替わるまでの間は、たとえ家族でも接見(面会)できません。

逮捕後、72時間以内に勾留請求がされるか決定され、勾留に切り替わった時点で、ようやく接見できるようになります。

弁護人以外の場合、面会できるとしても、捜査官の立会つきで時間は10~20分程度です。あまり込み入った話はできないので注意しましょう。

2 社員が逮捕されている間の出勤や給料について

社員が逮捕されると、その社員はしばらく出勤できなくなってしまいます。

具体的には、逮捕から起訴されるまでの最大23日間、出社できません。

その間の給料に関する取り扱いが問題になります。

基本的に休職している間は、給料は出ません。

ただし、本人が有給の消化を希望するのであれば、会社としては受け入れると良いでしょう。

3 社員が逮捕されてもすぐには解雇できない

「社員が逮捕されたら、解雇できるのだろう」と考える方が多いのですが、法律上はそう簡単なものではありません。

以下で、社員が逮捕されても解雇できない理由や正しい対処方法をお伝えします。

(1)すぐに懲戒解雇できるわけではない

多くの企業では、懲戒解雇の理由として「犯罪行為を行ったとき」を挙げています。

そこで従業員が犯罪事実によって起訴され、有罪認定を受けると懲戒解雇できる可能性があります。

しかし、逮捕されただけの段階であれば、まだ犯罪行為をしたと確定的に判断することができません。

逮捕されただけで懲戒解雇すると、後に不起訴となった場合などに不都合が生じる可能性があります。

従業員が逮捕されても、すぐに懲戒解雇としないように注意しましょう。

(2)有罪判決を受けた場合は解雇できることもある

それでは、従業員に有罪判決が確定したら、解雇できるのでしょうか?

実際には、有罪判決が出ても必ず解雇できるとは限りません。

解雇するには、社員の行為が「著しく企業秩序を乱した」ことが必要とされます。

たとえば、犯罪事実が業務内容とまったく関係のない私的なものであれば、犯罪行為によって著しく企業秩序を乱したとまではいえず、解雇できない可能性があります。

一方、社員が会社のお金を横領したなど会社に被害を与えた場合には、懲戒解雇が相当となるでしょう。

4 社員の逮捕後に企業がとるべき対応

社員が逮捕された後は、以下のような対応をしましょう。

(1)社員に対する対処

まずは、本人への対応方法を検討しましょう。

たとえば、有罪判決を受けても解雇しない場合や、有罪判決が出なくても起訴猶予になって犯罪事実が明るみにでた場合などには、何らかの懲戒処分をすべきケースが多々あります。

会社が損害を被った場合には、従業員へ損害賠償請求をするかについて検討をする必要があるでしょう。

(2)再発予防策をとる

今後、従業員による不祥事が再発しないよう、予防措置をとるべきです。

特に、業務と関連して犯罪が行われた場合などには予防措置をとる必要性が高いといえるでしょう。

今回の犯罪の原因を分析し、同様の事件が起こらないように仕組み化しましょう。

たとえば、横領事案があった場合には、複数人で会社のお金を管理するようにしたりして、チェック機能を強化することなどが考えられます。

京都の益川総合法律事務所では中小企業法務に力を入れています。従業員による不祥事にお悩みの際にはお気軽にご相談ください。

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