裁判所で紛争を解決する方法は、訴訟だけではありません。
民事調停によって解決できるケースも多数あります。
民事調停を利用すると、調停委員が間に入って手続きを進めてくれるので、争っている当事者同士が直接やり取りしなくて済むメリットがあります。
この記事では、民事調停手続きの概要や流れ、メリット・デメリットなどについて京都の弁護士が解説します。
争いごとに巻き込まれて悩んでいる方、訴訟は避けたいという方などは、是非参考にしてみてください。
このページの目次
1 民事調停とは
民事調停とは、裁判所が当事者の間に入って話し合いを進め、合意によってトラブルを解決するための手続きです。
もめごとが発生したとき、自分たちだけで話し合っても解決できないケースが少なくありません。
そんなとき、民事調停を利用すれば裁判官と調停委員が間に入って話し合いを仲介してくれるので、合意が成立しやすくなります。
民事調停において当事者の間に入る組織を「調停委員会」といいます。
調停委員会は、調停委員と裁判官から成り立っています。
民間でもめごとが発生したときには、民事調停を申し立てると解決につながるケースがよくあるので、状況に応じて利用するとよいでしょう。
2 民事調停で取り扱われる主なトラブル
民事調停は、民事に関する紛争を取り扱います。
民事調停で取り扱われることの多いのは、以下のようなトラブルです。
- 貸金や立替金などの金銭トラブル
- 給料や報酬などが不払いになっている場合のトラブル
- 家賃や地代の不払い問題、賃料改定のトラブル
- 敷金や保証金の返還などのトラブル
- 土地や建物の登記に関するトラブル
- クレジットやローンのトラブル
- 売買代金が不払いなっているなどのトラブル
- 請負代金や修理代金が不払いになっているなどのトラブル
- 建物や部屋の明渡しに関するトラブル
- 交通事故の損害賠償に関するトラブル
- 近隣トラブル
上記以外でも、私人同士の法律トラブルであれば、多くは民事調停で取り扱ってもらえます。
ただし、離婚や養育費、婚姻費用、相続などの家事に関するトラブルは家庭裁判所の家事調停で取り扱われます。
3 民事調停の申立方法
民事調停を申し立てる際には、「相手の所在地を管轄する簡易裁判所」へ申立をします。
相手が遠方の場合、裁判所も遠くなってしまう可能性があるので注意しましょう。
調停を申し立てる際には、申立書を用意して提出しなければなりません。
申立書の書式はこちらの裁判所のサイトにまとまっているので、参照して作成するとよいでしょう。
https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_minzityoutei/index.html
弁護士に申立書の作成や調停の代理を任せることも可能です。
民事調停にかかる費用
民事調停には費用がかかります。
申立の際に収入印紙を納めなければなりませんし、郵便切手も必要です。
ただし、民事調停の印紙代は訴訟より低額です。
郵便切手代も訴訟より低いケースが多いでしょう。
民事調停は訴訟よりコストが低くなるメリットがあるといえます。
4 民事調停の流れ
民事調停の流れを示します。
(1)申立て
まずは、申立人が調停を申し立てるところから始まります。
相手方の住所地を管轄する簡易裁判所へ、調停申立書と印紙、郵券を提出しましょう。
(2)第1回期日
申立を行うと、調停期日が決められ、調停の申立人と相手方が裁判所に呼び出されます。
調停期日においては、調停委員会が双方の言い分を聴いて話し合いが進められ、当事者双方の合意によってトラブルを解決することを目指します。
また、調停の手続きは、法廷ではなく、裁判所内の調停室において行われ、公開されることはありません。
(3)第2回目以降の期日
1回では解決できない場合、2回目以降の期日を入れて話し合いを続行します。
調停の期日は1か月に1回程度の頻度で開かれます。
調停は平日の日中に行われるので、仕事をしている方の場合には休んで出席しなければなりません。
(4)調停成立
合意ができれば、調停が成立します。
合意した内容をまとめた調停調書ができあがり、当事者双方へと交付されます。
調停調書は判決と同じ効力を持つため、相手が約束を守らないときには強制執行を申し立てることができます。
5 民事調停のメリット
- 話し合いにより柔軟な解決ができる
- 調停案を出してもらえるケースもある
- 調停調書に判決と同じ効力がある
- 相手との力の差、立場の違いがあっても妥当な解決を目指しやすい
- 訴訟より手数料が安い
- 調停は非公開であるので、プライバシーが守られる
6 民事調停のデメリット
- 合意ができないと不成立になってしまう
- 本人が対応する場合、平日の日中に裁判所へ通わねばならない
- 解決までに時間がかかる場合がある
- 調停委員がどちらか一方に肩入れしてくれるわけではない(中立的な立場)
7 弁護士に依頼すると解決できるケースも
民事調停には、デメリットや限界もあります。
当事者同士が合意できなければ成立しませんし、時間もかかってしまうこともあります。
平日の日中に裁判所へ行かねばならないのも負担になるでしょう。
弁護士に依頼すれば、当事者が自分たちで話し合う必要はありません。
弁護士が話を進めるので、平日の昼間に仕事を休むことが難しい場合にも、対応を任せることができます。
また、弁護士に依頼すれば、最適と考えられる解決方法について、ともに考えることができます。
お悩みごとは、お気軽に京都の益川総合法律事務所までご相談ください。