残業代請求や解雇トラブルなど、労働問題が起こった場合には「労働訴訟」を利用すると解決につながりやすくなります。
労働訴訟とは、労働者と使用者間の労働トラブルを解決するための裁判です。
訴訟なので時間や労力はかかりますが、最終的にトラブルを解決できるメリットがあります。
この記事では、労働トラブルを解決するための労働訴訟について、京都の弁護士が解説します。
労働トラブルの渦中にある企業や個人の方は、ぜひ参考にしてみてください。
このページの目次
1 労働訴訟の概要
労働訴訟は、労働者と使用者間の労働トラブルを解決するための訴訟です。
(1)労働訴訟で取り扱えるトラブルの内容
労働訴訟で対象となるトラブルの例を挙げると、以下のようなものがあります。
- 残業代請求
- 未払い退職金や賞与の請求
- 解雇トラブル
- 雇止めのトラブル
- 退職強要や退職勧奨のトラブル
- 労災に関するトラブル
- 安全配慮義務違反に関するトラブル
- セクハラやパワハラで企業が適切な措置をとらなかった場合のトラブル(職場環境配慮義務違反)
- 労働条件の不利益変更のトラブル
- セクハラやパワハラの加害者(同僚や上司など)に対する請求
労働審判の場合、セクハラやパワハラのトラブルのうち「被害者が加害者(同僚や上司など)のみへ損害賠償請求する」といった「労働者同士のトラブル」については利用できません。
一方、労働訴訟ではそういった制限はないので、同僚や個人などの雇用者以外の個人相手の損害賠償請求も可能です。
(2)書面によって審理が進められる
労働訴訟は、調停や労働審判と違い、基本的には書面によって審理が進められます。
原告と被告は、自分の主張を書面にまとめて証拠を提出しなければなりません。
証拠に基づかない事実や主張は認められないことが多く、十分な証拠を揃えて手続きを進める必要があります。
(3)和解するケースもある
労働訴訟では、判決によって結論が出されるのが原則的な終結方法です。
しかし、すべてのケースで判決となるわけではありません。
当事者間で和解をして事件が終了するという事案もよくあります。
和解の場合、話し合いによって柔軟に解決できますし、早期にトラブルを終わらせられるというメリットもあります。
2 労働訴訟の流れ
次に、労働訴訟の流れをみてみましょう。
(1)訴訟提起
まずは、原告(多くのケースでは労働者側)から訴訟が提起されます。
原告は、訴状と証拠を揃えて裁判所へ提出しなければなりません。
申立て内容に不備がなければ、裁判所で受け付けられて担当部署が決まります。
(2)被告への呼出状と答弁書催告状の送付
訴状が受け付けられると、被告(原告が労働者側の場合は使用者側)へと第1回期日の呼出状と答弁書催告状が送付されます。
このとき、原告が提出した訴状や証拠書類も一緒に送られてきます。
被告側は、定められた期限までに答弁書を提出しなければなりません。
(3)答弁書の提出
被告側から答弁書が提出されます。
答弁書には、被告側の意見や原告への反論などが記載されます。
裁判所や原告は、第1回期日までに答弁書の内容を検討することとなります。
(4)第1回期日
第1回期日では、訴状や答弁書に書かれた内容を確認し、今後の進行についての話があります。
多くの場合には、次回の第2回期日以降、争点と証拠の整理を行うための弁論準備手続きに付されます。
(5)第2回期日以降
第2回目以降の期日では、弁論準備手続の中で争点と証拠の整理が行われます。
当事者は、それぞれ準備書面を出し合って、自分の意見を法的にまとめて主張しなければなりません。また、適切な時期に証拠を提出する必要があります。
(6)尋問
争点や証拠の整理が終わったら、当事者や証人の尋問が行われます。
尋問では双方の代理人である弁護士や裁判官から順番に尋問が行われます。
(7)判決
尋問が終わって和解も難しければ、裁判所が判決を下します。
(8)控訴
判決の内容に不服がある当事者は控訴(異議申立て)ができます。
原告・被告のどちらからも控訴されなかった場合には判決が確定します。
3 労働訴訟を提起されたときの対処方法
企業側が労働者側から労働訴訟を提起された場合には、迅速に答弁書を準備しなければなりません。
無視すると、労働者側に有利な判決が出てしまうリスクが高まります。
また、答弁書は法律的に意味のある主張をまとめたものでなければなりません。
労働訴訟は話し合いの手続きではないので、基本的にすべての主張を書面にまとめなければなりません。
適切な主張ができないと、敗訴してしまって高額な支払いを命じる判決が出てしまう可能性もあります。
労働訴訟に対応するには、法律や手続きに精通した弁護士によるサポートが必要です。
4 労働訴訟はお任せください
京都の益川総合法律事務所では、企業側の労働トラブルサポートに力を入れて取り組んでいます。
これまで多くの労働審判や労働訴訟を取り扱い、京都の企業様を支えて参りました。
弁護士に労働訴訟を任せれば、企業内で対応する場合と比較して、普段の業務に対する支障も最低限に抑えられます。
労働者側から突然労働訴訟を提起されてお困りの場合には、お早めに弁護士までご相談ください。