労働審判を申し立てられたら、すぐに適切な準備を開始すべきです。
企業側に与えられる時間的余裕が少ないため、タイトな期間内に適切な答弁書を作成し、裁判所へ提出しなければなりません。
対応を間違えると調停で不利になったり、後の審判内容が自社に不利益なものとなったりするリスクが高くなります。
労働審判に対応するには、法的な知識を要するので、申し立てられたらできるだけ早めに弁護士へ相談しましょう。
今回は、労働審判を申し立てられたときに弁護士に依頼するメリットをお伝えします。
このページの目次
1 労働審判を申し立てられた企業が対応すべき事項
労働審判を申し立てられたら、企業側は非常に短い期間にさまざまな対応をしなければなりません。
第1回期日までに、労働者側の主張に反論するための「答弁書」を提出する必要があるからです。
答弁書を作成するには、以下のような対応をとらねばなりません。
- 労働者側の主張に間違いはないか、法的に反論できる事項がないか検討
- 直属の上司や同僚からの聞き取り調査
- 法的な観点から企業側の主張を固める
- 企業側の主張を補強する証拠集め
- 答弁書を作成
第1回期日は、基本的に申し立てがあってから40日以内に設定されるので、企業が答弁書を作成できる期間は実質20日程度となってしまうケースもあります。
短期間に急いで適切な書面を作成しなければならないので、労働審判を申し立てられることは、企業にとって負担が重いともいえます。
2 労働審判で弁護士がしてくれること
労働審判の手続きは弁護士へ依頼できます。
弁護士がどういったサポートを行うのか、みてみましょう。
(1)労働者側の主張を法的に分析
企業側に法律の専門的な知識がない場合、労働者側の主張内容を法的に分析するのは簡単ではありません。
弁護士は、法律知識をもっているので、労働者側の主張内容が法的に正しいかどうかを分析して依頼企業へ伝えられます。
(2)状況に応じた適切なアドバイス
労働審判では、雇用者側と企業側の労働トラブルが取り扱われます。
内容は、不当解雇やハラスメントトラブル、残業代不払いや違法な長時間労働、労災トラブルなどさまざまです。
相手方となった企業としては、事案に応じて適切な対応をとらねばなりません。
弁護士であれば企業に対し、事案に応じた最適な対処方法をアドバイスできます。
(3)事実関係の調査
労働審判に対応するには、事実関係の調査を進めなければなりません。
弁護士に依頼すると関係者からの聞き取りや証拠化など、調査方法などについてアドバイスを受けられるので、スムーズに進められます。
(4)証拠集めのサポート
労働審判でも証拠を集める必要がありますが、自社ではどういったものが有効かわからないケースも多いでしょう。
弁護士は証拠集めのサポートも行います。
(5)答弁書の作成
自社で答弁書を作成すると大変な手間がかかりますし、適正なものができるとも限りません。
弁護士に依頼すると、答弁書を作成してもらえるので企業に作成の手間がかかりませんし、必要十分な内容を盛り込んで自社に有利な書面を作成できるでしょう。
(6)期日に同行して発言
弁護士は労働審判の期日に同行して発言をします。
自社ではどういったことを主張すればよいのかわからない場合にも安心です。
(7)異議申し立ての対応
労働審判が出たとき、納得できなければ異議申し立てが可能です。
弁護士がいれば、異議申し立てすべきかどうかアドバイスを受けられますし、異議申立書の作成、提出などの手続きも任せられます。
(8)訴訟への対応
労働審判から訴訟に移行したときの対応も弁護士に任せられるので安心していただけるでしょう。
3労働審判を弁護士に依頼するメリット
(1)法的に適切な対応ができる
労働審判に適切に対応するには、労働法等に関する正確な知識が必要です。
弁護士であれば法律に精通しているので、効果的な答弁書を作成できますし審判にも適切に対応できます。
(2)迅速に対応できる
労働審判を申し立てられたら、すぐにでも準備にとりかかってスピーディに答弁書を用意しなければなりません。
自社のみでは対応が不十分となってしまうケースが多数です。
弁護士であれば、答弁書を作成する準備や作成、裁判所への提出などすべてに対して迅速かつ適切に対応できるので、任せていれば安心できるでしょう。
(3)有利に解決できる可能性が高まる
労働審判を有利に進めるためには、法的な知識や労働審判手続きについてのノウハウが必要です。
企業側の労働法務に精通している弁護士であれば、労働法に関する知識やこれまでの労働審判、訴訟などの経験を踏まえて適切に対応できるものです。
依頼すると、企業側にとって有利に解決できる可能性が大きく高まるメリットがあります。
(4)手間が軽減される
労働審判は、企業にとって負担のかかる手続きです。
対応をおざなりにすると、後に受ける不利益が大きくなってしまうリスクが発生します。
かといって、従業員や経営者が対応すると、日頃の業務がおろそかになって生産性が低下してしまう要因にもなるでしょう。
弁護士に全面的に任せれば、企業のマンパワーを割く必要が減ります。
経営者は経営に集中できますし、従業員も通常業務に取り組むことができて、効率的な事業運営が可能となるメリットがあります。
京都の益川総合法律事務所では、企業側の労働法務に力を入れております。
労働審判を申し立てられたなら、お早めにご相談ください。
労働審判については、こちらのページで詳しく解説しています。