企業へ内容証明郵便が送られてきた場合の対処方法

従業員とのトラブルが生じると、企業宛に内容証明郵便が送られてくるケースが多々あります。

内容証明郵便とは、郵便局が内容を証明してくれる手渡し式の郵便です。

差し押さえなどの法的な効力が生じるものではありませんが、発信者の強固な意思を伝える手段として用いられ、受け取った側に大きなプレッシャーがかかるケースも少なくありません。

今回は、企業が従業員や元従業員から内容証明郵便を受け取ったときの対処方法をお伝えします。

1 内容証明郵便とは

内容証明郵便とは、郵便局と差出人の手元に相手へ送付したものと同じ控えが残るタイプの郵便です。

郵便局には、一定期間控えが保管され、郵便に記載した内容や発信日などの情報を「日本郵便株式会社」が証明してくれます。

内容証明郵便自体には、差し押さえなどの法的効果はありません。

内容証明郵便の場合、普通郵便と違って「手渡し式」となるので、受け取らなければ相手へ返送されます。

2 内容証明郵便が利用されるケース

労働トラブルにおいて内容証明郵便がよく利用されるのは、以下のような場合です。

(1)不当解雇に対する未払い賃金請求や地位確認請求

企業が従業員を解雇すると、しばらくして内容証明郵便が送られてくるケースがよくあります。

解雇を無効と主張し、不払いとなっている給料の支払いを求めたり、地位の確認を請求したりするものです。

(2)未払い残業代請求

「残業代が適正に払われていない」と従業員側が考えている場合、未払い残業代の請求が内容証明郵便で行われる事例が多々あります。

(3)慰謝料請求や損害賠償請求

労災が発生した場合などには、従業員が会社側へ損害賠償請求してくるケースがあります。

その場合にも、慰謝料を含めた賠償金を内容証明郵便で請求される事例が多数です。

3 内容証明郵便と消滅時効の関係

内容証明郵便で請求すると、6か月間、時効の完成が猶予されます。

猶予されている間に裁判を起こせば、終了までの間は時効は完成せず、判決が確定したり、和解が成立したりすると、時効が新たに進行を始めます。

残業代を長期にわたって支払いをしていない場合、時効の成立間際になって内容証明郵便が送られてきたら要注意です。

引き続いて訴訟を起こされる可能性が高いと考えましょう。

4 内容証明郵便が送られてきたときの対処方法

(1)事実関係を確認

まずは、相手の言い分が正しいのか、確認しましょう。

たとえば、残業代請求をされた場合には、計算が間違っているケースも多々あります。

また、相手が「不当解雇」と主張していても、解雇が正当であるというケースが少なくありません。

自社の対応に問題があるといえるのか、法律的な視点から検証しましょう。

自社のみで判断がつきにくい場合、弁護士までご相談ください。

(2)返答する

事実関係の確認が終わったら、結果に応じて相手へ返答しましょう。

相手の言い分が明らかに間違っていたら、要求は断るべきです。

一方、相手の言い分に理由がある場合でも、どこまで妥協できるのか考えて書面で返事を出しましょう。

(3)交渉する

返答をしたら、具体的な解決方法について相手と交渉を進めましょう。

たとえば、未払い賃金がある場合、いくらをいつまでに支払うのかなどを決めます。

合意ができたら合意書を作成し、約束のとおりの支払いを行いましょう。

なお、相手の言い分にまったく理由がない場合、支払う必要はありません。

5 内容証明郵便への対応を弁護士に相談するメリット

従業員から内容証明郵便が届いたら、できるだけ早めに弁護士へ相談しましょう。

以下では、弁護士に相談するメリットをお伝えします。

(1)適切な対処方法がわかる

内容証明郵便が送られてきたときにとるべき対応は、事案によって異なります。

そもそも、残業代請求なのか、解雇トラブルなのか労災関係なのかにより、調査や返答方法も変わってくるでしょう。

相手の言い分について、法的な観点から内容を精査する必要があります。

弁護士に相談すると、状況に応じた最適なアドバイスを受けられるので、不利益を最小限にとどめつつ早期解決が可能となるのでメリットがあるでしょう。

(2)交渉を任せられる

従業員や元従業員から内容証明郵便が送られてきたら、相手と交渉しなければならないケースが多数です。

従業員側が弁護士をつけている事例も少なくありません。

自社で対応すると不利になってしまう可能性がありますし、余計な労力を割かれてしまうでしょう。

弁護士に依頼すると、弁護士が窓口となって交渉に対応するので、依頼者である企業に余分な手間がかかりません。

相手に弁護士がついていても不利になる心配はなく、企業法務に詳しい弁護士に依頼するとむしろ有利に進められるケースも多々あります。

(3)訴訟や労働審判にも対応できる

労働者側とトラブルになると、訴訟や労働審判を申し立てられるケースも少なくありません。

自社のみで裁判手続に対応するのは大変ですが、弁護士に任せれば適正に対応できます。

弁護士は法律家としての専門的な見地から依頼企業にとって最大限に有利となる解決を目指すので、安心して任せることができるでしょう。

京都の益川総合法律事務所は企業法務に力を入れて取り組んでいます。

内容証明郵便が届いて困惑されている経営者やご担当者の方は、お気軽にご相談ください。

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